先ほどの萩生田大臣の頓珍漢な答弁に対して、吉良よし子議員は審査案件が17件に激減した理由や、消えた8000件弱の案件がどうなってしまったのかを根気強く質問していく。その質疑は以下の通り。(下記の動画リンクの2分22秒〜)
吉良よし子(3問目):
『そうじゃないです。8000件あったのが1週間で17件になった。
7000件を一気に交付決定したってことですか?どうなったんですか?』
萩生田光一文科大臣:
『
あの、先週段階まであった8000件については継続的にですね、交付の準備をしていたのが整ったということでございます。(
赤信号)』
吉良よし子(4問目):
『17件以外は全部交付されたと。それでよろしいですか?』
*萩生田大臣は後ろに控えていた官僚に耳打ちされてから答弁に向かう
萩生田光一文科大臣:
『
えっと、全て交付決定したんじゃなくて、8000件のうち、約6000件が交付決定してて、2000件は・・・ (
赤信号)』
*後ろに控えていた官僚が萩生田大臣に声をかけて内容を訂正させる
萩生田光一文科大臣:
『
逆? 2000件が交付決定していまして、6000件が、えー、対象外ということになると思います。(
青信号)』
*萩生田大臣は数字が逆だったことについて、
吹き出して笑いながら答弁
吉良よし子:
『要するに
6000件、この1週間で一気に切り捨てたってことですよね。これはあまりに酷い話だと思うんですよ。連絡待ちながら一生懸命、慣れない申請作業していた文化芸術関係者の皆さんがね、心が折れながらも頑張ってたのに6000件、一気に不交付決定。もうそもそもね、この2月末までに何かやれと、そういうやり方がね、問題なんですよ。で、この期間内に新しい公演行うのが、どれだけ大変か。持ち出す資金のない若手のアーティストの皆さんは、もうすごい高いハードルで、それでも頑張って申請してみたけど交付決定がなかなか来ないから諦めるって、そういう悪循環になってるんですよ。申請すること自体できなかったって話も聞いています。』
質疑は以上である。
萩生田文科相は「6000件が対象外」と笑いながら言った
消えた8000件がどうなってしまったのかという問いに対して、最後にようやく2000件が交付決定して、
6000件が不交付となったという回答が得られた。だが、そこに至るまでに3問目では8000件全てが交付されたかのような答弁を行い、
4問目では「6000件が交付決定」という事実と真逆の答弁を行っている。いずれも萩生田大臣の認識誤りであり、
赤信号とした。
このやり取りから見えてくることは、
萩生田光一氏は文部科学大臣でありながら、一週間で6000件が一気に不交付にされたことを答弁中に初めて知ったということである。
萩生田大臣はこれまでの国会答弁でも度々、文化芸術への無関心さが垣間見えていた。例えば、約1ヶ月半前の1月28日の参議院予算委員会における
共産党・小池晃議員とのやり取り。民間の寄付に頼っており、1000万円に到達した後で助成が開始される仕組みとなっている文化芸術復興創造基金について現時点の寄付額を質問された際、
萩生田大臣は答弁時に手元の原稿を見て初めて金額を知ったことがはっきり分かる様子で答弁していた。具体的には、昨年11月時点で711万円だった寄付額が、2ヶ月経っても僅か50万円程度しか増えておらず、その少なさに思わず
失笑しながら「766万円」と答弁。その様子は以下の下記の動画リンクの7分5秒からハッキリと確認できる。
今回の質疑でも「6000件が交付決定、2000件が不交付」と逆に答弁したことに気づいた際に見せた、吹き出すような笑い方とそっくりだ。
国会で萩生田文科大臣は聞こえの良い言葉で物腰柔らかに答弁しているが、
1000万円を超えないと助成が開始されない文化芸術復興創造基金の寄付額を意識すらしておらず、文化芸術活動の継続支援事業が1週間で6000件も不交付決定されたことを国会質疑の場で初めて知り、その事実を笑って伝えることができるほどに、実際は文化芸術の支援に全くもって無関心であることが伺えたのである。
<文・図版作成/犬飼淳>