東大卒FXトレーダーの最新理論とは?

アベノミクスで発生した急激な円安トレンド後は、横ばい状態が続くFX。だが、長者たちはここでも勝つ手法を編み出していた!

注目するのは米ドル/円の方向性

<総資産?万円/デイトレ:福寄儀寛氏>
福寄儀寛氏

福寄儀寛氏

「FXを始めたのは’98 ~’99 年ですね。Eスポーツと呼ばれる、あるオンラインゲームで世界3位になったことがあるんですが、ペアを組んでいた外国人がたまたま為替のディーラーで、FXのことを教わったんです。『お前にはきっと向いている』と。当時は日本でFXをトレードする人なんてほとんどいなくて、海外業者を使っていました」  そう切り出したのは、ITベンチャー企業を経営する傍ら、FXに取り組む福寄儀寛氏。まだ37歳の福寄氏だが、FX歴16年のベテラントレーダーだ。 「自分のスキルがダイレクトに収益に反映される相場の厳しさに惹かれましたし、当時はまだ学生だったのでFXからの収入は貴重でした。社会人になった後も、給与よりFXのほうが稼げたので、ますます本気になりました」  福寄氏のようなゲーマー上がりのトレーダーは意外に多い。瞬時の反射神経はスキャルピングのような超短期取引にも活かしやすい。 「でも、僕がやっていたのは『ウォークラフト3』などのリアルタイムストラテジーと呼ばれるジャンルのゲーム。情報分析や戦略構築が大切なジャンルなんです。なので、スキャルピングもしますが、もう少し長めのデイトレードが中心ですね」  福寄氏のトレードは非常に戦略的だ。
チャート

福寄氏が実際に見ているチャートがコレ。移動平均線とボリンジャーバンドのトレンド系で相場の流れを見て、下段の4つのオシレーターでエントリーのポイントを探していく

「ゲームと共通するのは、上にいくか下にいくかを予想するのではなく、『このパターンになったらこうしよう』『この範囲を超えたら撤退』といったパターンを予めしっかり立てて実践すること。よく『テクニカルは何がいいですか?』と聞かれるんですが、何でもいいと思っています。大切なのは、一つのテクニカルを本質まで理解し、感覚的に使いこなせるまで精度を上げること。僕は年々勝率上がっているんですが、同じチャートを見続けて情報が蓄積されるごとに、得意パターンや、即撤退のパターンといったメソッドが増えているからだと思います」  そう言いつつ、見せてくれたチャート画面。けっこう複雑そうなのだが……。

複数の時間足で相場の大小2つの流れを確認

「自分のチャートが見られないときはスマホで取引することもあります。そんなときは移動平均線とオシレーター系を何か一つ表示させてあればOK」  オシレーター系とは、ストキャスティクスやMACDなど、相場の過熱感を測るテクニカル分析だ。反対に移動平均線やボリンジャーバンドのような相場の方向感を見るのはトレンド系だ。 「判断に使う比率としてはトレンド系が8割、オシレーター系が2割。トレンド系で流れを判断して、オシレーター系は入るポイントを探すときに使います。でも、ここで大事なのは一つの時間足だけで判断しないことです」  福寄氏が見ているのは日足、1時間足、15分足。さらに、エントリーの判断では5分足、1分足も見るという。面倒くさそうな気が……。 「複数の足で判断するのはとても大切なことです。相場の流れが変わるときは、まず5分足の小さな流れが変わり、それから1時間足、日足と波及していきます。日足の上昇トレンドが転換するときでも最初に5分足が下落して、1時間足でも下降が明確になっていきます。そうなったら、この流れは日足まで波及するかもしれない、と想像できますね」  いわゆる「マルチタイム」の発想だ。
ミドルバンド

1本目=安値更新、2本目=同水準まで下がるも更新できずとなったら、3本目に注目。3本目が安値を更新できずに切り上がるようなら買いだ。損切りは1本目の安値、利益確定の目安はミドルバンドとなる

「その上で反応が早いもの・遅いものと複数のオシレーターを見て、エントリーを判断しますが、もっとシンプルにローソク足だけで判断する方法もあるんです。好きなパターンは下がっているときに安値をつけて、次のローソク足も下げようとするんだけど、安値を更新しないときですね。このときは3本目のローソク足がとても大切。3本目が安値を更新すれば見送りですが、安値を更新できずに切り上げてきたら、買いたい場面です」  安値を切り下げれば下降トレンド継続だが、安値を切り下げられないのなら、反発すると判断できるのだ。 「このやり方は損切りが明確なのも魅力です。1本目の安値を明確に下抜けたら損切り。利益確定の目安はボリンジャーバンドのミドルバンド、そこを勢いよく上抜けたなら、プラス1σ、2σまで利益を伸ばします。米ドル/円は最近値動きが小さいので、2σより1σを意識することが多いですね」  さまざまな通貨を取引する福寄氏だが、最近の得意通貨ペアは、この米ドル/円だという。 「アベノミクスが始まってから米ドル/円は勝ちやすくなりました。多くの人が同じ情報を共有しているので、大枠のトレンドがどちらを向くのか、読みやすいのが理由だと思います」  円安第2幕への期待が高まっているのか、足もとではドル買いポジションが積み上がってきている。 「円安が進む場面では、トレンドが明確なときだけ参加し、方向感がないときは静かに見守ると勝ちやすくなると思います。大相場なら流れが明確になってから入っても勝てます。ただ、相場が買いポジションで溢れると、好材料が出ても上がりにくくなるし、逆に少し下がるだけで買いポジの損切りが発生して、急落しやすくなる。そんな場面はリスク前提で狙っていきたいと思っています」  急落というのは、短期間に資金を大きく増やすチャンスでもある。円安第2幕の道中で訪れるだろう、急落を恐れるばかりでいてはもったいない。福寄氏のように積極的に狙っていくのもありだ。そのためには過去の急落パターンを徹底分析し、自分なりの必勝パターンを身につけるべし! <教訓> 円安第2幕はリスク覚悟で、急落局面で大きく増やす! 【福寄儀寛氏】 [投資歴:’98年から16年間/アベノミクス益:?円/主な通貨ペア:米ドル/円、ユーロ/米ドル]37歳ながらFX歴16年のベテラン兼業トレーダー。収益の安定性を最優先に考え、資産の多くをFXで稼いできた。東大卒の理論派であり、ITベンチャー企業経営者、オンラインゲームの世界ランカー
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