FXで5000万円稼いだ元県庁職員の秘密

アベノミクスで発生した急激な円安トレンド後は、横ばい状態が続くFX。だが、長者たちはここでも勝つ手法を編み出していた!

円安再開でボラティリティが拡大。超短期取引にも好環境が整った!

<総資産5000万円/スキャルピング:そらはる氏>
そらはる氏

そらはる氏

「’13 年の利益は約5000万円。アベノミクスが大きかったですね。スキャルピングがメインなので、円安・円高は関係ないですが、相場が活況で値動きが大きいとスキャルピングもやりやすい」  こう振り返るのは’10 年から専業トレーダーとなった、そらはる氏だ。彼が儲かり出したのは、専業になってから。負け続きのトレーダー人生から一転、アベノミクス長者になれたのだから首相官邸に足を向けて寝られない。 「そもそも『あれだけ負けていて、よく専業になったわ』ってよく笑われます。以前は県庁で働きながらトレードしていたんですが、給料が消えていくばかりで貯金もゼロ。本気でやらな勝てんわと思って退職したんです」
アベノミクスに乗じて1年で資産を10倍越えに

投資歴は10年と長いものの、ぱっとしなかった。だが、バイナリーオプションで400万円の元手を稼ぎ、アベノミクス相場で総資産5000万円まで増やす

「負けているのは、まだ本気を出していないから」と専業になるも、当然のごとく撃沈する。 「昔はラクして勝とうという思いが強かった。情報商材にも手を出し、ろくに読まずに『これはダメ、次』って鬼のように買い漁って、毎月10万円くらいはコンスタントに負け続けていた」  そらはる氏がホントのホントに本気を出し始めたのはここからだった。 「奥さんにも愛想を尽かされそうになって、それからはメモを取りながら真剣にチャートを見始めました。そうしたら、だんだんと数秒先の動きが読めるようになってきたんです」
トレード

専業トレーダーへの転向という状況でも結婚してくれた奥さんとの間には子宝にも恵まれた。1日2時間は我が子を抱きながらチャートをにらんで取引するとか

 そらはる氏が最初に成功したのはバイナリーオプションだった。これで400万円の元手をつくると、’13 年からは超短期取引専門のスキャルパーとしてFXに復帰する。 「ちょうどアベノミクスも始まって900万円まで増えたんです。それで迎えたのが4月4日。黒田日銀総裁が異次元緩和を発表した日です。猛烈に円安が進んだんですが、逆張りがメインなので円買い、円買いでナンピンしているうちに泥沼にハマって……。どうしようもなくなり、『何も言わんと、このボタンをクリックして』と嫁に泣きついた。嫁は意味がわかってなかったと思いますが、彼女が押したのは500万円の損切りボタンです(笑)」  しかし、この失敗を教訓にそらはる氏はようやく覚醒する。「損切りを徹底」という常識的だが難しいルールを徹底するようになり、1年間で4000万円以上の利益を稼ぎだした。

ボリバン±3σの逆張りエントリーが基本

ボリンジャーバンド

1分足チャートにボリンジャーバンド±3σを表示させ、下抜けたら買いエントリーが基本となる。さらに、RCIで相場の強弱を判断。買いシグナルが弱ければ無理をせずに、数量を少なめに。1、2銭で利益確定させ、損切りも10~20銭とルールを徹底させる

「基本は『突っ込み買い・吹き値売り』での逆張りです。相場が急騰したら売るし、急落したら買います。取引を始めるときの目安として、1分足チャートに表示させているのがボリンジャーバンドの±3σです」  相場は通常、+3σと-3σの間に収まる。その確率は99.7%だ。もしもローソク足が±3σにタッチするようなことがあれば異常。そのときに逆張りでエントリーするのが、彼のやり方である。+3σタッチなら売り、-3σタッチなら買いと考え、1取引30万~50万通貨で取引を重ねていく。 「ただし、3σにタッチする勢いで動いているときは、すぐ反転せずに、勢いが続くこともある。そのときはナンピンです。5、6回ナンピンし、ダメなら損切りです。利益確定は1、2銭ですが、損切りは10銭とか20銭。ナンピンはするわ、コツコツドカンのやり方だわ、『やっちゃダメ』って言われることばかりやってますね(笑)」  さらに、RCIも見ているそらはる氏。RCIは+80を超えたら上がりすぎで売り、-80を割ったら下がりすぎで買いと見るテクニカルだ。  また、そらはる氏は雇用統計や中央銀行の理事会といった指標、イベントも積極的に狙う。 「指標発表の直後は±3σを突き抜けることも多いので、為替レートだけを見て反転を待ちます。大きな指標の発表直後はスプレッドが20~30銭と広がります。そのときはまだ勢いが強いのですが、勢いが弱まってスプレッドが2~3銭くらいまで縮まったら、反転が始まる目安としてエントリー」  雇用統計で急落してスプレッドが広がるのは、売り手ばかりで買い手が不在ということ。やがて買い手も出てくると、スプレッドが縮まり出す。買い手が増えてくれば、反転も間近というシグナルになるということだ。
ECB

6月5日に行われたECBの政策金利発表時を例にしたトレード。発表後すぐにエントリーするのではなく、45分間は様子見。この場合、-3σにタッチするほどの急落後を見せても食いつかない。スプレッドが2~3銭と落ち着いてきたら、買いエントリー開始だ

「ECBなどでは金利や政策が発表されて、それから45分後にドラギ総裁の記者会見が始まります。金利発表後の動きが会見でのドラギ発言でひっくり返されることもあるので、金利発表から45分間は様子見します」  県庁職員を退職するなど無計画なようで、押さえるべきポイントを押さえるのはさすが。で、第2戦略は? 「今年前半はボラティリティが低下してやりにくかったですね。アベノミクス第2幕が始まって相場がまた活況になれば、スキャルもやりやすくなる。手法は変えませんね。期待していますし、黒田さんが追加緩和を発表して相場が大きく動いたときは大勝負して、今度こそもっと儲けたいですね」  円安第2幕を狙った円売りもいいが、相場活況を狙ったスキャルも面白いのかもしれない。 <教訓> 超堅実な県庁職員を退職後も惨敗続き……。「ラクして勝つ」を捨ててスキャル開眼! 【そらはる氏】 [投資歴:’04年から10年間/アベノミクス益:4000万円超/主な通貨ペア:米ドル/円]10年間勤めた県庁職員を’10年に辞めて専業トレーダーに転向。自身を追いこむかのように結婚するも、アベノミクス発生までは鳴かず飛ばず。しかし、’13年からの相場でスキャルバーとして開眼!
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