では、異なるモチベーションファクターのメンバーが揃いも揃ったV6は、なぜ25年もの間、不協和音を顕在化させずに成長を続けることができたのだろうか。
それは、6者6様だったことに理由があるように思える。これが3人対3人で2つのモチベーションファクターにわかれていたら、両者の対立が頻出していたに違いない。
3人対2人対1人で3つのモチベーションファクターに分布していたら、その一人のモチベーションファクターが満たされないことが常態化し、その人が脱退する確率が高くなる。6人がそれぞれ別のモチベーションファクターを持ち合わせていたことは、バランスのとれた状態を継続するには、これ以上ない要件だったのだ。
相手のモチベーションファクターは自分とは異なる可能性が高いことを認識し、相手のモチベーションファクターを見極めるスキルを持ち、
相手のモチベーションファクターに合わせたコミュニケーションができることが必要だ。
6つのモチベーションファクターに否がおうにも分散された状態が、必然的にこれらのスキルを高め、バランスのとれた状態を作り出したに違いない。メンバー全員のモチベーションファクターがどこかに偏っていたら、その必要性に迫られなかったかもしれないが、6者6様のV6は、それをせざるを得ない状況に常に直面するなかで、これらのスキルとセンスを高めたのだ。
アイドルグループでも企業でも、組織内はモチベーションファクターを分散させる。そのうえで相手のモチベーションファクターを見極め、行動や話法を繰り出すスキルを発揮することが、持続的成長を遂げるための要件だ。
質問:人にはそれぞれモチベーションの高まりやすさの違いがあるのか
ポジティブなことを思い出したり共感し合ったりすると、モチベーションが高まることがわかりました。ネガティブ表現をつい使ってしまいそうになるときに、意味を変えないでポジティブ表現に切り替えていけば、日常的にモチベーションを高めることが習慣化できることもわかります。
しかし、人にはそれぞれ、モチベーションの高まりやすさの違いがあるのではないでしょうか?
回答:違いをモチベーションファクターで分類する
以下の2志向・6要素に、日本のビジネスパーソンのモチベーションファクターを分類することができます。牽引志向と調和志向は、肉食系と草食系、狩猟型と農耕型とも言われています。
私は中国でもプログラムを実施していますが、狼型と羊型というと、中国人ビジネスパーソンにイメージを持ってもらいやすい概念です。名称は何であれ、人にはそれぞれ、モチベーションが高まりやすい要素があるのです。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第232回】
<取材・文/山口博>