休業支援金はあまり周知が進んでいないが、非常に水準の高い制度だ。
給付される金額が高い
休業支援金は休業前賃金の8割を受け取ることができる。算定方法は、休業に入る前の6か月間のうち、月収の高かった3か月間を選んで、その3か月間の給与総額を暦日数で割った金額の8割というものである。これが1日当たりの支援金額となる。
給付日数は、休業期間から就労した日数を引いた日数であるが、就労が4時間未満の日には半日分の支援金が支払われる。例えば、2020年4月いっぱいを休業期間として、1日も働かなかった場合には30日分の支援金が支払われる。あるいは、4月いっぱいを休業期間として、その間、5日働き、そのうち3日は6時間、2日は3時間働いたとすると、3日分は支援金が出ないが、2日分は半日分が支払われるため、26日分の支援金が支払われることになる。
例えば月20万円稼いでいた人の1日当たりの支給金額は、20万円×3か月÷90日×0.8=5334円であり、4月いっぱい休業ということになれば、16万円110円受け取ることができる。
労働日数や労働時間の削減でも利用できる
休業支援金は、「1か月間シフトが0になりました」というケースで使えることはもちろんだが、「1か月の労働日数が0にはなっていないが減ってしまった」「1日当たりの労働時間が減ってしまった」というケースでも利用可能だ。
企業協力がなくても受給できる
原則として休業支援金の申請の際には、企業に「事業主記入欄」を埋めてもらうこととなっているが、こうした協力を拒む企業が多数存在する。そのため厚生労働省は、2020年10月30日に、企業協力が得られない場合でも受給を可能にした。
筆者が事務局次長を務める首都圏青年ユニオンは、制度創設時から休業支援金の相談を受け付け、申請の支援をしてきた。電話口で必要な情報を提供することはもちろん、申請に協力するよう企業に要求・交渉したり、事務所で一緒に書類を作成するといった支援をしている。企業からの協力を得られないケースについては、この案件が休業支援金の対象になる旨の説明文を一緒に作成し、添付して申請している。
日本語講師をしているBさんは、新型コロナ禍で日本語研修がなくなってしまったことで仕事がなくなっていたため休業支援金の申請をしたが、企業が「業務委託契約であり休業支援金の対象ではない」と主張したため不支給決定が出てしまった。
しかし過去に有給休暇の取得実績があったり、契約書上も労働者として扱われているなど業務委託契約ではなく労働契約であることは明白であった。Bさんはユニオンと一緒に書類を作成し、説明文を添付して申請したところ、無事先月支給決定がなされた。今後2回目の申請をする予定であるが、ユニオンが休業支援金受給において大きな役割を果たしうることがわかるだろう。休業支援金の申請で困っていたり、不支給決定が出てしまったという方は、ユニオンに相談してみてはいかがだろうか。
<文/栗原耕平>