その理由として最も大きいのが2000年代に発売されたIHクッキングヒーターの買い替え需要の到来だ。20年近くが経過して製品寿命を迎えたこと、そして、機能や性能、使い勝手が大きく向上したことも挙げられる。そして、コロナ禍による暮らしの見直しなどで再び注目を集めているという状態だ。
IHクッキングヒーターは震災後の停滞期を経て、再び普及期を迎えた。
現在、日本国内のIHクッキングヒーター市場は、パナソニックが過半数のシェアを持ち、日立、三菱電機が追う構造。この3社でほぼすべてを占めている状態だ。
パナソニックでは200Vモデルの生産開始から30周年になる昨年11月に、グローバルでの累計出荷台数700万台を実現。さらに国内市場だけでなく、グローバル展開を促進していくとしている。
しかし、IHクッキングヒーターの普及はまだまだ課題が残っている。
現在の世帯普及率は24.1%(総務省 平成26年全国消費実態調査) とまだ3割を超えていない状態だ。
これにはガスコンロと比べて導入時の初期コストが高いことや、使い勝手の違いへの抵抗感がある。そこで買い替え需要が高まっているいま、メーカーは買い替えユーザー、そしてガスから切り替える新規ユーザーに向けて様々な提案や、訴求を行っている状態だ。
IHクッキングヒーターは業務用途で使われていた歴史があるように、火力の面ではガスコンロよりも熱効率がいい。 さらに30年の間に調理性能が向上したのはもちろんのこと、ユーザインタフェースなども改善され、使い勝手もアップしている。
新しいモデルではグリルが強化されており、冷凍した肉もそのままオートで焼けるという
新規の導入となると、様々なハードルはあるが、最新のIHクッキングヒーターには多くのメリットがある。
高火力で繊細な温度設定も可能。また、自動調理機能を搭載するモデルも多い。メンテナンス性が高いのもポイントだ。ライフスタイルが大きく変化する中、キッチンの新しい形を考えると、IHクッキングヒーターは選択肢がら外せなさそうだ。
<文・写真/コヤマタカヒロ>