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コロナショック以後、職場や学校ではリモート会議や授業が導入され、新たな日常の一部となっている。しかし、もしビデオを切り忘れ、あらぬ発言が相手に聞こえてしまったら……。筆者が住んでいるポーランドでは、そんな事態が現実のものとなってしまった。
思わぬ形で「本音」を漏らしてしまったのは、現地邦人の間で「
コペ大」の愛称で知られる
ニコラウス・コペルニクス大学ブィドゴシュチュ校、そして
グダニスク医科大学の教員だ。(参照:
TYLKO TORUN、
Interia)
ことの発端は、リモート授業が終わったあと、
教員がマイクを切り忘れていたこと。教員たちが気づかずに、そのまま試験についての会議を行っていたところ、
一部の学生がそれらの会話を録音し、ネット掲示板に投稿したことで、大炎上してしまったのだ。
これだけなら、「
ビデオの切り忘れ」という
うっかりニュースで済みそうなものだが、問題は録音された会話の内容だ。
「前にも話しましたが、リモート形式では
合格率が高すぎます。
なんとかしないと」(教員A)
「ウチは学校で試験を行うには密すぎます。学生にとってそれがいいかどうか。授業の単位はリモートで取ったのに、試験は生に変えられるのか。
40%が合格してしまう可能性がありますし、そうなったら
学長に呼び出されます」(教員B)
ご覧のとおり、
いかにして学生たちを「落とす」かについて話し合っていたというわけだ。これだけでも大問題だが、その裏にはさらに「
教育ビジネス」の闇が隠れていた。
何故そこまでして
学生を落としたがるのか不思議に思う読者の方もいるだろう。その答えは、録音されたグダニスク医科大学教授の会話に隠されている。同教授は、自身が集めている「
基金」について、次のように話した。
「解剖学はたいてい
再試験になります。構内では『
基金』と呼ばれていまして、というのも
8000ズロチ(約22万5000円)かかるんです。
お金は大学に入ります」
「
Interia」の記事によれば、この「基金」の金額はさらに増しており、さらに
試験に落ちて再履修となった場合は学費もかかる。今回のケースでは、毎年20人ほどの学生が留年するため、
「基金」の金額は約5600万円にものぼるという。
問題の発言を行った教授は、次のようにも話していた。
「私は(試験を)オンラインで行いますが、もう(聞き取り不可)
○人不合格者がいます。
彼らのチャンスはゼロです。
事実上、刈り取っているんですよ。オンラインでね。たったの45秒で済みます」
この発言を聞いた別な教員たちは、「
私たちの(学生への)要求は高すぎますが、できなければいけないので」とフォローしつつも、次々と自分たちの不合格者の数などを話し合っていたという。
意図的に合格率を操作し、再試験の
費用や学費を「基金」として集める……。教員たちの会話は「本音」どころか、
教育ビジネスの闇そのものだったのだ。