値下げ材料が見当たらない「過熱感を嫌った急落」の後には、リバウンドをとるチャンスが到来する!
<総資産1億円/デイトレ:YR氏>
YR氏
「ボラティリティの高い新興株を重点監視。急落後のリバウンドを狙って、細かい利幅をとっていくやり方をメインにしています」
そう話すのは専業トレーダーのYR氏だ。総資産は1億円。明確な株価上昇局面が終わった今年に入ってからも、約1000万円の利益を得たという。
「今年に入ってから取引しているのは主にITやバイオなどテーマ性の強い銘柄ですね。エントリータイミングを計るひとつの目安として、数週間~数か月値上がりが続いた後に、業績悪化など株価が下がる明確な理由がないのに1日に10%前後の値下がりをしたら、ターゲットにしています」
例えば日本マイクロニクス(6871)。同社の株価は’13 年11月上旬まで630円前後だったが、月末には倍近い1200円前後に急騰した。業績の上方修正を発表したことで買いが集まったのだ。その後も値上がりは続き、翌年2月には1万円に達した。
日足チャート(‘13年12月24日~‘14年3月10日)‘13年11月後半から上昇続きだったが2月19日は売りが先行し終値1万500円。引き間際でエントリーし、翌日の寄りで利確
「けれど株価をチェックしていた2月19日、1万1370円で寄り付いた後、1万2840円のピークを付けてから急落し、始値を割り込んでまだ下がり続けました。特に株価が急落するような発表やニュースは見当たらない。市場参加者が過熱感を感じて、売りが集まったのでしょう。そんなときは翌朝に戻ることが多いので、リバウンドを狙いにいきました」
結果、終値の1万500円付近でエントリーし、翌朝の始値1万1280円付近で利確。7.4%のリターンを生んだ。
「2月はほかにもクルーズ(2138)で同様の手法を使って儲けられました。2月25日の終値にかけて、15%ぐらい値を下げていたんです」
そんなKR氏だが、’10 年1月には日本航空の経営破綻により10年間かけて貯めた資産の半分が吹っ飛ぶという辛酸を舐めたという。
「そこで投資法を徹底的に変更。平気で株主の利害を無視した増資をする会社なんていくらでもあるから、株価の理論価格やPERなんかは、ほとんど目安にしません」
ただ、4月以降は個別銘柄の値動きが小さくなったため、ミクシィ(2121)とそれに連動して動く銘柄をチェックする程度に抑え、日経225先物を併用する戦法を実践中だ。
「戻りの強い銘柄を時折仕込みつつ、日経225先物をショートしてヘッジをかける。今年後半は、しばらくこのやり方が主体になると思いますね」
<第2戦略>
戻りの強い個別銘柄を狙いつつ日経225先物でヘッジをかける
【YR氏】
[投資歴:14年/アベノミクス益:1000万円/主な監視銘柄:ボラ高の新興株]愛知県在住の30代投資専業。以前は無類のギャンブル好きだったが、今は投資一本で勝負する。JAL破綻の手痛いロスを経験し、厳選したチャンスだけを狙うテクニカル重視のトレーダーになった
取材・文/牧 隆文 谷道健太 高城 泰(ミドルマン) 元山夏香 イラスト/サダ 図版/ミューズグラフィック チャート協力/楽天証券