総務省違法接待問題を「公務員倫理法」で追及した野党の失策<なんでこんなにアホなのかReturns>

野党時代の自民党こそあるべき野党の姿

 国会議員の仕事は他にある。疑惑の追及をするなと言うのではない。疑惑の追及大いに結構。しかし、疑惑の追及は、今の権力者を引き摺り下ろし、自分が権力を握るための道具としてなされるべきものだ。それが政治と言うものだし、政治家、とりわけ皆等しく内閣総理大臣候補である衆議院議員とはそうあらねばならない。  野党のお手本は、常に、野党時代の自民党だ。  今からちょうど10年前、東日本大震災の発災直後、野党自民党は国難に背を向けて、時の民主党政権の疑惑追及に明け暮れていた。安倍晋三のようにメルマガでデマを流す不逞の輩がいたほどだ。そしてその明け暮れの結果、ついに自民党は政権を奪取した。  あれでいい。あの下品さ、あの権力に対する飽くなき渇望こそが、どの時代にも野党に求められるものだ。

「批判より対案」という美辞麗句

批判より対案」などと俗耳に入りやすい美辞麗句なんざ、政治的にはナンセンス。対案を出したければ今から国家公務員試験を受けて官僚になればいい。そうではないから、国会議員諸君は、バッチをつけて政府と対峙しているのではないか。  まずは、権力を握りに行く。握ろうとする。その気魄無くしては、どんな立派な対案・マニフェストであろうと画餅に帰してしまう。そしてその気魄を示すことこそが、自民党政権に蹂躙され、もはやこれ以上我慢できぬと叫ぶ我々有権者の負託に答える野党の責任ではないか。 <文/菅野完>
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
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