「ご褒美」でのヤル気アップは効果薄。どうすればモチベーションを上げられるのか

報酬を「手に入れる」より「失う」にシフト

 その方は目標達成したときの報酬を事前に買っておいて、従業員の方に「もう買ったからね」と宣言するそうだ。そう宣言したタイミングから、目標達成へのスピードが一気に高まるそうだ。  なぜ、これが効果があるかと言うと、「保有効果」と「損失回避性」で説明することができる。    人は得る前の物よりも、すでに持っているものに価値を感じる。たとえば、他人が持っているマグカップと、自分が持っているマグカップ、それぞれに値段をつけてもらった場合、自分が持っているマグカップのほうを約2倍も高く見積もってしまうのだ。  そして、手に入れる前の物を失うよりも、すでに手に入っている物を失うほうが心理的なショックが大きい、「損失回避性」による効果が合わさっている。  すでに報酬を得た状態にしておくことで、目標を達成できないと、それを失ってしまう……。こうした状況は報酬による価値を高めるだけでなく、報酬を失いたくないという気持ちからモチベーションを高めることもできる。

報酬は先に準備するが吉

 また、達成できなかった場合には、次こそ報酬を得ようというモチベーションにも繋がるため、報酬の価値をどんどん高めていく必要がない。心理学的には、理想的な外的報酬によるモチベーション向上作戦だと言える。  あなたが部下を抱えている場合は、「もう、あそこのお店予約したからね」「ほしがってたチケット、もう買ってあるからね」のように、すでに報酬を得ている状態にすることがオススメだ。  達成するまで手に入らない報酬は、相手も諦めがついてしまうので、安定・継続したモチベーションアップには繋がらないことを知っておくべきだ。 <取材・文/山本マサヤ>
心理戦略コンサルタント。著書に『トップ2%の天才が使っている「人を操る」最強の心理術』がある。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催中。
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