歌舞伎町の不要不急の価値とは? ホストクラブ他多数店舗を経営する手塚マキ氏に聞く

image 2度目の緊急事態宣言が出されてから早や1ヶ月半が過ぎようとしています。感染者数は減少している一方で、コロナによる自粛疲れの声も聞こえて来ます。リモート飲みもいいけど、そろそろ皆で顔を突き合わせて一杯交わしたい……。そんな風に思っている皆さんも多いのではないでしょうか。  今回は人と人との交流の場として栄えてきた歌舞伎町で商店街組合の常任理事を務め、ホストクラブの他に飲食店、美容室、介護事業(デイサービス)など約20店舗を経営、昨年『新宿・歌舞伎町 人はなぜ<夜の街>を求めるのか』(幻冬舎) を出版した手塚マキさんに、コロナ禍での歌舞伎町の様子、ホストクラブの変化や会社経営のあり方、本に込めたメッセージなどについてお伺いしました。

コロナ禍でも常連が支える

――1回目の緊急事態宣言下で、歌舞伎町のホストクラブやキャバクラ、また他の店の様子はどのようなものでしたか? 手塚:まず、ホストクラブとキャバクラですが、キャバクラはお客様が決まった女性目当てで来ることが多く、個人戦のような働き方がされているんです。なのでコロナ禍になったらお客様を呼べるキャストだけが出勤するというお店が多かったです。  一方、ホストクラブは、特定のホストにお客様が付くのは同じですが、そのお客様を個人ではなく店のみんなで楽しませるチーム戦なんです。なので、お店は給与を保証して従業員たちの雇用を継続していました。  飲食店に関しては、小さなお店は持続化給付金をもらっていたのでダメージはあったもののまだカバーできた部分はあったと思います。苦労しているのは飲食チェーンのような一見さんで店を回しているところではないでしょうか。常連さんのいる店は、影響はありますが、売上がゼロになることはないです。店を支える人がいるんですね。自分の経営しているホストクラブも常連さんがいるので、売上がゼロになることはありませんでした。そして、緊急事態宣言解除後の7月にはすぐに回復しましたね。

ホストクラブの変遷

――女性に積極的でない男性が増えているという中で、男性を求めて女性がホストクラブに通うという話を耳にしました。 手塚:ホストクラブに限らず、社会全体の傾向だと感じています。先日、芥川賞受賞作の『推し燃ゆ』(宇佐美りん著 河出書房新社)を読んだのですが、男女ともにあの本で描かれている状態が増えている気がします。相互関係の恋愛というより、見返りを求めないでお金を費やす。そういう傾向が徐々に増えて、ホストクラブの売上が上がって来たのではないかと感じますね。  昔はホストとの関係は「恋愛なのか、恋愛ではないのか」というような感覚を味わえるのが肝だったと思うのですが、ここ5年ぐらいはそうではありません。一方的に「推し」に対してお金をつぎ込んでいる人もいます。 ――最近のホストクラブはTwitterやInstagramなどSNSを活用していますよね。AKB48を応援するような感覚なのでしょうか? 手塚:まさにそうですね。新規のお客さんはホストをSNSで見てお店に来た人が多いです。ホストとは親密になりたいという人もいるし、推し専門になりたいという人もいる。多様化していますね。 ――本ではホストクラブに明朗会計制度を導入したことについても触れています。 手塚:会計が不透明だとホストクラブ入店はハードルが高いですよね。それに加えて歌舞伎町はアットホームな反面、外からのお客様の少ない街です。ホストクラブのお客様もどうしても身内の人や水商売をやっている人になりがちになってしまうので、もっと外のお客さんを取り込んで行くために明朗会計制度を導入しました。  もう一つは、働いているホストたちが狭い視野で仕事をするのではなく、歌舞伎町に来たことのない層にアプローチすることによってブルーオーシャンを開拓して欲しかったことですね。そしてそれは彼ら自身の視野を広げることにもつながるんです。  歌舞伎町の中だけで通じる人間ではなく、歌舞伎町に来たことのない人の相手もできるようになって欲しいという思いがありました。売上だけではなく、彼ら自身の人間としての成長を求めて導入し始めた制度ですね。
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多角経営のきっかけ
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