「秘密投票」はなぜ必要なのか。選挙の公平性と「抜け穴」

 公正な選挙を行うための制度の1つとして「秘密投票」と呼ばれるものがあります。この制度により有権者は選挙の際に自分の意志だけで投票することが可能になりますが、この「秘密投票」の趣旨を無実化し、自由意思で投票をできなくさせる手法が存在します。今回は「秘密投票」はどのようなものであるかの簡単な解説と「秘密投票」の制度をかいくぐる手法を紹介します。
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画像はイメージ(adobe stock)

秘密投票とは

 公正な選挙を行うための制度としては様々なものがありますが、「秘密投票」と呼ばれる制度もその1つです。秘密投票は極めて重要なもので、日本国憲法 第15条 第4項に「すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。」とあり、憲法に規定されていることからも「秘密投票」の重要性が分かります。この秘密投票を採用した選挙制度のことを「秘密選挙」と言います。  秘密投票の制度というのは、簡単に言ってしまえば、誰が誰に投票したのかが全く分からないようになっている制度のことで、これは選挙そのものを管理している組織も誰が誰に投票したかが分からないというものです。

公正な選挙をするために

 なぜ、このような制度が公正な選挙に必要なのでしょうか。それは誰が誰に投票したかが分かってしまうと、自分の意志で投票することができなくなってしまうからです。例えば、自分の勤めている会社の経営者や上司から特定の候補に投票するよう要求されたとしましょう。もし、誰が誰に投票したかが分かってしまった場合、その候補に投票をしなかったことがばれたら報復が行われる可能性があります。また、政府といった公的な組織にも、誰が誰に投票したかは分かりません。分かってしまった場合、その時の政府に反対する候補者や団体に投票した人に何らかの報復が行われる可能性があるからです。  このように誰が誰に投票したのかが全く分からない場合は、様々な報復を恐れることなく、自分の意志だけで投票することができます。前述したように、立場が上の人にこの人に投票するようにと強要されたり、買収を断れなかったりしても、誰に投票したかは分からないので、報復などを恐れることなく別の候補に投票することが可能となるのです。
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