「日本株の筆頭株主はGPIF、2位は日銀。日本は共産主義国家になるのか?」藤沢数希氏
アベノミクスによる超金融緩和政策で、日銀は年3兆円のペースでTOPIX連動型ETFを買い、約130兆円の年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も日本株の目標ウエイトを25%に引き上げている。結果、日銀とGPIFが日本の大株主になってしまった。
日本国政府が、税金で株を買い占めようとしている。アベノミクスによる超金融緩和政策で、日銀はこれまでに年1兆円のペースでTOPIX連動型のETFを買っていたが、昨年10月31日にこの買い入れペースを3倍の年3兆円にすると発表した。また、日本国民の年金である約130兆円を運用するGPIFも、同日に日本株の目標ウエイトを12%から一気に25%に引き上げると発表した。
日本の全上場企業の時価総額は約500兆円。日本全体を一つの会社と考えれば、GPIFが断トツの筆頭株主となり、現在約25兆円を保有している。実に日本株の5%を持っていることになる。さらに目標ウエイトを25%に引き上げるので、130兆円×25%=約33兆円まで買い増していく。これは日本株の6.5%になる。
これまでの第2位の株主は、日本最大の保険会社である日本生命の約8兆円だったが、日銀がこれを抜いたと予想される。筆者の推定によると、’15年1月末時点での日銀が持っている日本株は約8.5兆円だ。さらに年3兆円ペースで買い増していくので、年末には約11.3兆円になる。これは日本株全体の約2.3%だ。ちなみに、第4位の株主は、三菱UFJ銀行の約6兆円である。
つまり、政府の二つの公的機関であるGPIFと日銀が、日本の会社の第1位、2位の株主となり、7%もの株を保有しているのだ。年末には10%ほどになっているだろう。公務員たちが税金でこれだけの株を買い占めている状況は、世界を見渡しても極めて異例だ。当然だが、買った株が下がれば、大きな損失が出る。それは国民の税金で支払われることになる。
また、これだけの規模のインデックス・ファンドを保有していれば、TOPIXの銘柄入れ替えなどのイベントで、大きなマーケット・インパクトが生じるだろう。こうしたファンドは、インデックスの変更に伴い、その通りに株式を売買しないといけないので、ヘッジファンドにカモにされるのだ。
⇒【後編】「いまや日本は公務員が計画経済をする時代」に続く
https://hbol.jp/23974 【藤沢数希氏】 欧米の研究機関にて博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。ブログ「金融日記」管理人。恋愛工学メルマガも発行する。cakesでは恋愛小説も連載中
日本株の筆頭株主はGPIF、第2位が日銀に。日本は共産主義国家になるのか!?(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)
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