古くからパチンコ業界は、団結とはかけ離れた業界であったと言っても過言では無い。当たり前だ。最盛期で18000店舗がひしめく産業で、そのほとんどが中小零細企業なのである。まして、地域によって法律の解釈やルールが変わるという特性もあり、全国一律で同じ方向を向くということが至極難しい業界であった。
全国のホールのほとんどが加盟していると言われている、
全日本遊技事業協同組合連合会(以下、全日遊連)の統計によれば、2021年1月17日現在、全日遊連に加盟しているホール数は8886店舗であるという。全日遊連に加盟していないホールが、一般的には300店舗~500店舗あると言われているので、少なく見積もって現在日本には約9000店舗のパチンコ店があると推測される。
旧規則機の撤去に応じていないホール数は2月17日時点で226店舗。この数は、ホール4団体誓約書確認機関が運用する通報確認システムの総通報件数が1500件にも及ぶことから、大きくずれるものでは無いと考える。
単純に割っても、226店舗は全体の2.5%程度だ。逆に言えば、
97.5%のパチンコ店が、法律よりも、21世紀会の取り決めに従ったということになる。この数字は、従来のパチンコ業界を考える時、驚異的と言っていい程のものだ。
ましてコロナ禍の最中である。どのパチンコ店も客数を大きく減らし、売上の減少は免れない。そのような状況下でも、収益の柱と言われた「沖ドキ」を外したパチンコ店。その背景には一体何があったのかについては、また別に分析する必要があるだろう。
ニュースというのは、事実ではない。そこには発信側の主観が大きく作用している。発信側の利害関係と言い換えても良い。時にコロナ関連ニュースが毎日報じられる昨今、世間の耳目はニュースで報じられる断片的な数字に惹きつけられがちだ。
コロナ関連ニュースであれ、パチンコ業界関連ニュースであれ、大事なのは全体感であり、そのニュースをどれだけ客観視出来るのかという個々人の分析力に拠るところが大きい。
兎にも角にも、「沖ドキ」問題を通して筆者はパチンコ業界の底力を見た。
勿論、一般の目には映らない内情もあるのだろう。それは業界関係者にすら見えていないのかも知れない。「沖ドキ」の撤去に応じたパチンコ店の真横に、撤去に応じていないパチンコ店があれば、正直者がバカを見たと思うのかも知れない。
ただ、客観的に導き出された「97.5%のホールが撤去に応じている」という現実的な数字には、今までにないパチンコ業界の団結力、もとい意地を見る思いである。
<取材・文/安達夕>