ヨシヒロ / PIXTA(ピクスタ)
世界的な感染爆発から一年近くが経過した新型コロナウイルス。我々の生活は一変したが、それは多くの子どもたちの指導にあたり、大きな責任を問われる教師も同じだ。まもなく卒業式の季節を迎える現役高校教師に、この一年を振り返ってもらった。
今回、取材に協力してくれたのは、英語教師のFさん。コロナが生活を直撃したのは、やはり
緊急事態宣言が発令されてからだと振り返る。
「最初の緊急事態宣言が解除されるまでの
一斉休校は大変でしたね。
とにかく急でしたから。木曜日に要請が出て、金曜日のお昼までに会議をして休校が決定。土日を挟んで月曜日から休校と、息つく暇もありませんでした」
卒業式は行ったものの、
部活動などの大会はすべてキャンセル。そうした状況が6月まで続いた。
「再開してからは、何かあったときのために授業やホームルームなどをウェブ上で行えるよう、東京都に関しては環境を整えられたと思います。ただ、その後は
検温・
消毒・
換気など、
自分たちで対応しなければいけませんでした。
仕事は間違いなく増えましたね」
通常の授業だけでも多くの責任が伴う教師たちにとって、
コロナ対策や
スケジュール調整などは大きな重荷となっている。
さらに、各自治体や全国の大会などが中止となり、
部活動に対する影響も大きかった。
「最後の大会が中止になった3年生は本当に可哀想でした。仕方ないですけど……。
体育祭、
文化祭、
修学旅行など
行事が全部なくなって、生徒たちは残念がっていましたね」
伸び盛りの時期に練習環境が激変。自分たちの成果を発揮する舞台が消滅とあっては、いたたまれない気持ちになるのも無理はない。ただ、実はこんな本音も……。
「専任で教えている人やスポーツに強い学校はまた違うでしょうけど、(教師は)
みんな嬉しかったんじゃないですかね。仕事のあとも土日も部活動での指導に追われて、
ワークライフバランスがめちゃくちゃでしたから」
部活動や大会の中止が及ぼす影響は、スポーツ界にとって計り知れないものだ。
しかし、それは
時間外や休日中にも指導にあたる教師が大勢いることで成り立っているのも事実。こうした歪な部活動の仕組みも、コロナをキッカケに変わっていくのかもしれない。