公的機関やメディアだけでなく、
東京五輪を楽しみにしていた外国人の間でも
大きな怒りと失望が広がっている。
「日本は
すごく発展している国というイメージが強かったから、こんな
時代錯誤な発言が飛び出して、とても驚いているよ。『
女性は話が長い』なんて軽口を叩く人はポーランドにも多いけど、オリンピックの会長がそんなことを言うなんて、ちょっと考えられない。
楽しみにしていた女性の観客やアスリートからしたら、平手打ちされたようなものだろう? 自分の競技だけでなく、こんな奴らとも戦わなきゃいけないのかってウンザリしてるはずだ」(ポーランド人)
また、森氏の辞任は「
唯一の明るいニュース」という辛口な意見も。
「森が辞めたのは
東京五輪で唯一明るいニュースじゃない? まあ、
とても開催されるとは思えないけど。暑さが酷すぎるとか、働く人がいなくてボランティアに頼むとか、
そもそも山積みだった問題も解決してないし。むしろ、コロナや森を言い訳にできてよかったんじゃないかな。そのまま開催してたら、散々なことになってたと思うよ」(ドイツ人)
海外メディアと同じく、在日外国人からは「
日本が抱える問題の一部に過ぎない」と言う声も出ている。
「
アメリカも大統領は高齢の白人男性だけど、周囲のポストには若い女性を就けたり、
バランスを取ろうって意識は見えるよね。
80代のおじいちゃんが女性差別をして、
誰も代わりがいないから辞めない、
辞めても代わりはさらに歳上っていうのは、
どう見ても問題だよ。
女性も若い人もスキルや経験がないから要職に就けないっていうのは、
社会の仕組みに問題があるってことでしょう? そもそも大事なポストに高齢の男性しか就けないんじゃ、
スキルも経験も積みようがないし。理にかなっているようにいろいろ言い繕うけど、
日本のこういう部分は大嫌いだよ」(アメリカ人)
森氏の責任を問うだけではなく、「
チェンジ」のキッカケにするべきだという声は、他の在日外国人からも挙がった。
「住んでみて実感したけど、
日本は本当にジェンダーの観点からは後進国だと思う。今回の発言にしても、
何が問題なのかすら理解できない人が大勢いるのは、その証拠。海外にもミソジニストはいるけど、ここまで大手を振るうことはありえないし、それが問題だってわからないのは論外だよ。『
怒られたから辞めます』って、
反省も勉強もしてこなかった政治家ばかりだし、
みんなそういう人たちに投票し続けてる。
五輪が成功していたら、また何十年もそのままだっただろうから、
変わるキッカケにしてほしい。中止になっても、ここから学ぶことができれば、長い目では『
成功』するかもしれない」(ノルウェー人)
東京五輪開催の是非や森氏の後任ばかりに目が向けられているが、より大きな問題は
我々日本人がここから何を学ぶか……ということなのかもしれない。
<取材・文・訳/林 泰人>