菅首相も「お粗末」と陳謝したCOCOA不具合。しかし、問題の本質はアプリではなく厚労省の「お粗末さ」にあり

「業者のテストが不十分」は本当か?

 そして、アンドロイド版COCOの不具合の際も、雇用調整助成金申請システムのトラブルの際も、厚労省の説明はいつも同じで、「業者側のテストが不十分だった」の一点張りだ。  しかし本当にそうなのだろうか。分野も違えば開発業者も違うシステムが偶然にも「業者側のテストが不十分だった」という共通の理由であれほど重大なトラブルを起こすものなのだろうか。  決してそうではないはずだ。委託業者が違うにもかかわらず、同じようなミスが発生しているのであれば、発注側の発注内容あるいは発注の仕方に問題があると考える方が自然ではないのか。どのシステムも例外なく本番稼働後に業務全体をストップさせるような深刻なトラブルを発生させているのであれば、少なくとも、「発注側の検収がザルであった」とは言えるはずではないか。業者だけに責任があるのではない。発注し検収する厚労省の責任は極めて重いと言わざるを得ない。

業者に責任を押し付けるだけの厚労省

 医療、年金、労働、福祉と、厚労省の業務範囲は極めて広範だ。そしてその業務範囲全てが広く一般市民を対象としたものであり必然的に取り扱うデーター量が膨大になる。他のどんな省庁よりも厚労省こそが、業務のシステム化が必要不可欠となってくる。  その厚労省が「発注するシステム、全て、ことごとく、失敗続き」の不名誉な記録を更新し続けている。そしてその厚労省が厚労省自身の問題点を反省せず全てを業者にかぶせ、知らぬ顔を続けている。さらには、なんの反省もなんの検証も経ず、厚労省は予算編成のたびに巨額のシステム開発費用を要求し続けている。  その厚労省の姿勢こそが「お粗末」なのではないか。  取材班の問題意識はそこにある。今後も厚労省の「お粗末さ」についての追求を続けていく。 <文/HBO取材班>
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