保健所視察は千代田区長選のための「選挙対策」!? 「五輪ファースト」で動き始めた小池都知事の“野望”

千代田区保健所視察は、直系候補応援のための「税金を使った選挙対策」

千代田区保健所を行政視察する時も、囲み取材の時も、樋口候補が小池知事の隣に並んでいた

千代田区保健所を行政視察する時も、囲み取材の時も、樋口候補が小池知事の隣に並んでいた

 なお囲み取材では、「都民ファーストの会」都議から千代田区長選に立候補した樋口たかあき候補が小池知事の隣に立っていた。樋口候補はネット上で小池知事と並んだ写真を掲載、都とのパイプの太さを強調していた。この視察は知事直系候補へのテコ入れを兼ねた「行政視察」となっていて、「税金を使った選挙対策」と批判されても仕方がない。  この日の「行政視察」は、江東区保健所と中央区保健所と千代田区保健所が対象だったが、取材可能だったのは3か所目の千代田保健所のみ。そこに、小池知事が衆議院時代にインターンを経験した愛弟子の樋口候補が駆けつけるという“舞台設定”になっていたのだ。  現場では、“小池劇場”が再び開幕したという雰囲気を醸し出していた。2017年の千代田区長選でも、小池知事が支援した区長がトリプルスコアで圧勝、同年夏の都議選で自民党を惨敗に追い込む前哨戦となった。そんな千代田区長選で「是が非でも2連勝して都議選につなげる」という小池知事の狙いが透けて見えてくる。  千代田保健所での意見交換で小池知事は、菅首相との責任なすりつけ合いをしている間に第三波感染拡大を招いたことにも、第四波感染拡大につながる恐れのある五輪開催についてもまったく触れなかった。自らの職務怠慢を棚に上げて「コロナ対策で奮闘する都知事」と印象づける広報宣伝工作といえる。「自分(選挙)ファースト」に徹しているようにしか見えない。

小池知事の胸中にある「国政復帰、初の女性首相」への野望

「コロナに打ち勝った証」と位置づけ、総選挙圧勝につなげようと目論む菅首相

「コロナに打ち勝った証」と位置づけ、総選挙圧勝につなげようと目論む菅首相

 筆者の著書『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』では、小池知事の最終目標が総理大臣で、国政転身の機会を狙っているのは確実だと指摘した。政治評論家の伊藤達美氏も「小池百合子都知事 貫禄十分に奮闘中 恐るべき老獪さ」と銘打った1月14日の『夕刊フジ』で、ポスト菅の最有力候補となる可能性について次のように述べている。 「新型コロナが収束に向かい、東京五輪・パラリンピック開催が実現すれば、小池氏の存在感はさらに高まることになるだろう。そうなれば、『わが国初の女性首相』の可能性すら出てくる」 「小池氏の胸中には『国政復帰の野望』が再び点火する可能性もあるのではないか。そうなれば『ポスト菅』の最有力候補に浮上するかもしれない」  不仲説が流れる菅首相と小池知事が「五輪ファースト」の姿勢で一致するのは、両トップにとって五輪開催が政治的にプラスであるためではないだろうか。さらなる感染拡大のリスクを無視して五輪開催に突き進む動機は、菅首相も小池知事も十分に有している。  第三波の感染爆発を招いた“亡国コンビ”が五輪開催で再び暴走するのか否か。今後の両者の言動に対しては最大限の注意を払う必要がある。 <文・写真/横田一>
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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仮面 虚飾の女帝・小池百合子

選挙や五輪を優先して、コロナ感染爆発を招いた小池百合子東京都知事。
都民のためでも、国民のためでもない、すべては「自分ファースト」だ!

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