筆者の仕事は「選挙ウォッチャー」であり、全国各地の選挙を取材しては、どんな様子だったのかをまとめてレポートすることですが、ぶっちゃけ、どの候補者も新型コロナウイルス対策をやるんだと声を揃えて言うものの、言っていることとやっていることが全然違います。
例えば、「新型コロナに負けない」というキャッチフレーズを掲げておきながら、事務所の中で出陣式をやって、思いっきり『密』を作り上げているのに、スタッフは「ソーシャルディスタンス」を求める紙を掲げている。あるいは、「コロナ克服」というキャッチフレーズを掲げておきながら、有権者と「グータッチならOK」というオリジナルルールを作って触れ合う。はたまた、二酸化塩素の液体を選挙事務所の空気中に散布するような候補者もいました。
要するに、新型コロナウイルスが問題になって1年以上も経つのに、どいつもこいつも新型コロナウイルスにどう立ち向かったらいいのかをろくすっぽ勉強していない。そんな人たちが候補者になり、場合によっては当選をしているのです。
知事レベルから区長・市長レベルまで、ちゃんとした新型コロナウイルス対策ができている候補者は、ほぼ皆無。ろくすっぽ勉強もしていなければ、自身のコロナ対策すら甘いのですから、こんな人たちに感染を抑えるための政策なんか考えられるはずがなく、ワクチンに頼る以外の選択肢がなくなってしまったというわけです。
しかし、「無能は何をやっても無能」だという悲しい現実があるため、ワクチン戦略しかないのに、そのワクチンすら手に入らない。手に入ったとしてもワクチンに信用がない。一刻も早くワクチンを打たなければならない状況にもかかわらず、ワクチンをマイナンバーカードに紐づけしようということになり、またしてもワクチンを接種するために市役所に行列を作るつもりのようです。
こうなってくると、いよいよ政治に頼ることができないので、自衛をするしかなくなってくるわけですが、自衛をするにもお金はかかります。いろんな会社が消毒液を置いたり、机と机の間に仕切りを設けたり、喫煙所を屋外に移動させたり、みんなが頑張って感染防止対策をしています。どれもこれも企業側の努力であり、みんなが工夫をして感染防止対策に努めてくれているわけですが、そんな努力に対し、「ありがとう」と言うわけでも、もっと頑張ってもらえるようにお金を出すわけでもない。
麻生太郎財務大臣はこの期に及んで、断固として再び10万円を配るようなことはしないと言っています。アメリカ様からのポンコツ戦闘機はナンボでも買うくせに、国民のためにお金を使うのは渋る。それどころではありません。変異種が入り込まないようにする空港での水際対策を、よりによってPCR検査ではなく、「
精度の低い抗原検査」に切り替えてしまったばっかりに、今、日本はイギリスの変異種が市中感染している酷い状態に仕上がっているのです。
有権者がしっかりと抗議の声をあげるべき事態になっています。しかし、日本では政治に文句を言う人はほとんどいません。政治に対して期待をしていないということもあるのかもしれませんが、物を申したら面倒臭いことになるので、誰も物を申さないのです。でも、そんなだからマヌケな政治家たちがやりたい放題になってしまうわけです。みんなが入院できずに苦しんでいる中で、
石原伸晃さんだけは無症状でもPCR検査を3度も受けて即時入院できてしまう。こうしたことを許しているのは、実は、私たち有権者なのです。
筆者は「選挙ウォッチャー」という仕事を始め、ひょんなことから、たくさんの政治家たちを見ることになりました。皆さん、なんとなく「日本の政治はダメなんじゃないか」と思っていると思いますが、かれこれ3年近く、いろんな選挙と政治家たちを見てきた僕がハッキリと断言します。ズバリ、日本の政治はダメです。
しかし、どうしてダメなのかと言ったら、みんながあんまりよく考えずにダメな人に投票をしている。もっと言えば、ダメな人が当選しそうになっているのに、多くの人が無関心を極めて選挙に行かないからです。その結果として、政治家に全く相応しくない人物がたくさん立候補し、時にはそうした連中が当選してしまう。もはや普通の会社で、社会人として通用しないレベルの人たちが政治家になり、ガチで何も考えられないという地獄に陥っているのです。
もはや「どこの政党の人だったら大丈夫」なんていうものは一つもありません。その中で、本当に少しでもマシな人をしっかりと見抜き、しっかりと投票するしかありません。魚市場で鮮魚を選ぶ魚屋の大将ぐらいの目で、しっかり見抜いていかないと、僕たちは政治家に殺されてしまうのです。
<文/選挙ウォッチャーちだい>