琴貫鐵に「出場か引退か」を迫った日本相撲協会の愚行からビジネスマンが学ぶこと

国技館

mizoula / PIXTA(ピクスタ)

 大相撲佐渡ケ獄部屋、序二段力士の琴貫鐵が自身のツイッターで引退を発表した。新型コロナウイルス感染拡大が深刻ななか、初場所の休場を申し出たところ、日本相撲協会から「コロナが怖いで休場は無理だ」と言われ、「出るか辞めるか」の選択を迫られ、コロナにおびえながら我慢して相撲を取るという選択肢は選べなかったという。

目先の興行か中長期の成長か

 琴貫鐵のケースは氷山の一角で、内心は同じようにおびえている力士は少なくないに違いない。激しいぶつかり合いをするなか、密着し、顔を寄せ合い、息をかけ合って相撲を取るわけだから、感染リスクは極めて高いと言わざるを得ない。おびえるのが当たり前だ。おびえる気持ちは、取り組みにも影響が出ることは必至で、普段のパフォーマンスが発揮されるとは思えない。  初場所は、新型コロナウイルス陽性だった横綱白鵬をはじめ多くの力士が休場する。これ以上休場者が出ては初場所が成り立たないという思いから、「コロナが怖いで休場は無理だ」という発言につながったとすれば、それは間違いだ。  興行が成り立たないのは、普段のパフォーマンスを発揮できない可能性があるからだ。おびえていようが、パフォーマンスを発揮できなかろうが、一定数の力士が出さえすればよいと考えているとすれば、興行自体の質を疑わざるを得ない。  そもそも、初場所は取り組みが成立したとしても、感染拡大を増長し、中長期的には禍根を残しかねない。  琴貫鐵は休場することで降格もされるだろうし、勝ち星毎に支給される奨励金を受けとることもできない。こうした不利益を承知で休場したいと言っているわけで、何も過分な要求をしているわけではない。それに対して、「出るか辞めるか」を迫るとは理解に苦しむ。

優先順位基準の差異を見極める

 このケースは、「何を大事にして判断しているか」という優先順位基準を見極めると、コアにある問題を紐解きやすい。琴貫鐵は、安全リスク回避中長期的なパフォーマンス発揮を基準にして、今回の休場を判断して申し出た。  いっぽう、日本相撲協会側は安全よりも興行実施リスク回避ではなくリスク包含中長期ではなく初場所という短期的なビジネス成果を基準にして、「出るか辞めるか」を迫ったわけだ。  感染拡大防止により、自分やほかの人の命を守るという観点から、日本相撲協会側の判断のもとになった基準には誤りがあると思われる。優先順位基準をつまびらかにしていくと、正否を見極めやすい。
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