コロナ禍で引き裂かれる国際カップル。入国規制は妥当なのか?

入国制限で引き裂かれる恋人たち

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画像はイメージ(adobe stock)

「#愛は観光ではない」。このハッシュタグをSNSで見かけたことがある人も多いのではないだろうか。  終わりの見えないコロナ禍で、海外に住む恋人と離れ離れになっている国際カップルが、このスローガンを掲げ、入国緩和を求めているのだ。  日本では、2020年3月からの入国制限で、海外に自由に行き来できない状態が続いている。同年10月には、留学生やビジネス渡航など中長期の在留資格を持つ外国人の新規入国を認めるなど、制限を緩和し始めていた。しかし同年12月28日から、変異種の拡大に伴い、全ての国・地域からの新規入国を一時停止するという事態に逆戻りしてしまった。  会いたくても、会えない。  世界中の未婚の国際カップルが恋人から引き離され、このコロナ禍の犠牲となっているのだ。

ワーキングホリデーで入国も検討

 千葉県に住む20代の太田奈々さん(仮名)もコロナ禍で恋人に会えなくなったうちの一人。  パンデミックが始まる直前の2020年1月に韓国人男性との交際を始め、同年2月末に韓国・ソウルで再び会う約束をしていた。ところが、2月下旬に韓国・大邱(テグ)で大規模感染が起こり、再会を見送ったという。その後、コロナウイルスの感染が拡大の一途を辿り、もう一年以上会っていない。 「最後に会ったのが去年の1月18日なので、もう1年以上になりますね。その時は、コロナがこんなに長引くなんて夢にも思わなかったですし、きっとすぐ落ち着いて、会いに行けると思っていたんです。今思えば、入国制限が始まるまでに無理をしてでも会いに行けばよかったなと思いますね」  この一年間、直接会えない代わりにテレビ電話でやり取りをしてきたという。 「毎日2~3時間のテレビ電話は欠かせませんね。あとは、月に一度手紙やお菓子などをお互いに送り合っています。私たちは日本と韓国なので時差がなく、毎日電話もできますが、それでも直接会えないのはしんどいですね」
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恋人が太田さんに送った手紙

 太田さんは、もし今後も入国制限が緩和されないのであれば、中長期の滞在を視野に入れ、ビザの取得を目指すつもりだという。 「徐々に暖かくなって3月頃になっても入国が緩和されないようであれば、ワーキングホリデービザか、長期の留学ビザを取得して、彼に会いに行くつもりです。お金もかかるし、今の仕事に支障も出るけど、彼に会うためには仕方ないですよね。日本は今年オリンピックを何としても開催すると意気込んでいるから、夏になれば入国できるようになるのかな、とも思っていますが、変異種も出てきている中で、もうあまり日本政府に期待していないんです」  苦悩の表情を浮かべながら話してくれた太田さんの左手の薬指には、記念日に彼が送ってくれたというペアリングが光っていた。
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直接会えないまま涙の破局
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