トランプ弾劾裁判で分断加速のリスクも? バイデン政権誕生で日本が泣く!
米国時間の1月20日、厳戒態勢のなか、バイデン政権が誕生する。連邦議会の西側に広がる緑地「ナショナル・モール」への立ち入りは原則禁止に。2万人以上の州兵が動員され、会場周辺のフェンスには有刺鉄線が張られるなど、物々しい雰囲気での就任式となる。熱烈なトランプ支持者による暴動を警戒してのことだ。
ご存じのとおり、その2週間前の1月6日はアメリカ憲政史上に汚点を残した日だ。ホワイトハウス近くで演説したトランプ大統領は、「選挙結果は大規模な不正の産物」と主張。
さらに「全員で議会に向かって行進し、平和的かつ愛国的にみんなの意見を届けよう」と訴えたところ、選挙結果を認定する上下両院合同会議が開かれていた議事堂を一部のトランプ支持者らが襲撃。州兵による鎮圧作戦で、警官1人を含む5人が命を落とす大惨事に発展したのだ。
これを受けて13日には史上初となる任期中2度目の大統領弾劾訴追決議案を下院で可決。新政権誕生後に、上院で弾劾裁判が開かれる予定だ。米ニュージャージー州在住のジャーナリスト・冷泉彰彦氏が解説する。
「議会襲撃を煽ったことは内乱扇動罪に当たります。大統領職を辞した人物に対する弾劾裁判は前代未聞ですが、大統領職にありながら民主主義を否定する犯罪行為に加担した罪は重い。その判例をきっちり残しておきたい、というのが弾劾を求める議員らの建前です。
一方で、有罪にして将来の公職資格を剥奪するという狙いもある。このまま野放しにすれば、再びトランプ氏が大統領選に挑戦しかねないという危機意識が、民主党はもとより共和党内にもあるのです。ただ、上院で3分の2の票が必要なため、共和党から17人が造反しない限り、有罪にはなりません。有罪決定でトランプ支持者を刺激するリスクもあるだけに、新政権の火種となる可能性もあります」
スタートから難題を抱えるバイデン政権には、ほかにも懸念材料がある。一つはコロナ対策だ。
「200兆円の追加経済対策を発表し、直接給付をひとり最大14万円追加するとしていますが、一日に4500人近くがコロナで亡くなるなか、感染収束まで経済対策を継続できるのか? 収束後に雇用や格差問題をいかに解決するのか? という点が、国民の大きな関心事です。富裕層と企業に対する増税を打ち出していますが、党内左派に配慮した政策に偏れば、好調な景気と株価の足を引っ張りかねない」(冷泉氏)
さらに、トランプ政権と同様、対中政策にも不安要素があるという。
「新設するインド太平洋調整官にカート・キャンベル元国務次官補を起用しますが、彼は中国台頭を受けてオバマ政権時代にアジア回帰の外交政策を主導した、どちらかといえば対中強硬姿勢の人物。
国務長官に就くアントニー・ブリンケン元国務副長官も中ロに対する同盟国の結束を呼び掛けている人物で、USTR(通商代表部)代表に就任するキャサリン・タイ下院法律顧問は台湾系の両親を持ち、中国をWTO(世界貿易機関)違反で提訴した経験のある人物。
トランプ政権よりも対中融和路線に転じると見られていましたが、人事を見る限り中国に対する圧力は強い。外交と貿易を切り離して、通商政策では中国とウィン・ウィンの関係を築くとバイデン氏は訴えてきましたが、実現のハードルは非常に高くなっている印象です」(同)
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