さて、今回とある大手ファミレスに「コロナ禍の状況」について取材したところ、コロナ禍のなか店の売り上げに大きく寄与していたのは「Go Toイート」…ではなく、意外にも
「Go Toトラベル」の地域共通クーポンだという。
取材に応じて頂いたファミレスでもコロナ禍で客足が大きく減少しており、親会社が店舗整理を発表していたため店の存続も危ぶまれていた。しかし、この店舗は駅やバスターミナルに近いこともあってか「Go Toトラベル」開始後はある程度客足が回復することとなったそうだ。
こうした利用客の
「Go Toトラベル」(地域共通クーポン)利用率は「郊外店よりも『駅チカ』などのほうが高い」(取材に応じてくれた大手ファミレス社員氏)という。
これは恐らく「Go Toイート」のクーポン券は「いつも行く店の支払いに使おう」と思って購入した人が多いのに対し、「Go Toトラベル」の地域共通クーポンは消費可能日数がかなり短いため「使える店舗を見つけたならば早めに使ってしまおう」という人が多いためであり、さらに「密を避けて避けられがち」であったり、「リモートワーク増加のマイナス影響」を受けやすいため苦境に陥っていたような「駅チカなど目立つ好立地」の店舗ほど、「Go Toトラベル」が客足の回復に寄与することになった結果だといえる。
それゆえ、年末年始に「Go Toトラベル休止」の決断が下されたことはファミレス業界に対しても大きな打撃となっているとみられ、このままGoToトラベルの休止が長引くならば「さらなる店舗整理などの合理化」は避けられないことになるであろう。
ロイヤルホストで入店時に渡される「安全・安心に関するお願いとご案内」。
ファミレス各社とも感染対策には余念がない。ロイヤルホストでは客席ごとの仕切り板の新設もおこなわれている。
「業態誕生」から約半世紀を経て大きな転換点を迎えることとなったファミレス業界。かつては深夜まで語り明かす若者や始発を待つサラリーマンで賑わったファミレスも、コロナ禍により営業時間が大幅に短縮された店舗が少なくなく、ファミレスの姿自体も大きく様変わりしようとしている。
「withコロナ」戦略に舵を切るべく時代にあった新業態を開発するなどあの手この手で変化を遂げつつある各社であるが、一方でコロナ後には再び消えてしまう業態も生まれるであろう。
果たして、コロナ後――ポストコロナ時代のファミレスは、一体どういった姿を見せてくれるのだろうか。
<取材・文・撮影/若杉優貴(都市商業研究所)>