リニア訴訟で、原告782名のうち532人の原告が外される
山梨県のリニア実験線を走るリニア実験車両
昨年12月1日11時。782名の原告のうち、約7割の532名が原告から外された。
国土交通省を相手取り、リニア中央新幹線の事業認可の取り消しを訴えていた「ストップ・リニア!訴訟」。2016年5月の提訴以後、開催された口頭弁論は17回。リニアが通る1都6県に居住する原告住民の意見陳述を展開してきた。
その第17回口頭弁論は、ちょうど1年前の2019年12月20日。原告団は、2020年以降は原告・被告双方の証人尋問に焦点を当てての法廷闘争を考えていた。だがその日、古田孝夫裁判長は「来年(2020年)3月に原告適格の中間判決を出す」と表明した。
これは
「782名から原告適格者でない者を原告から外す」ということだ。
「なぜ17回も口頭弁論を重ねて、今さら『原告適格』なんだ」
12月1日の中間判決の前に裁判所前で展開した原告団のアピール行動
782名の属性はさまざまだ。原告団によると、原告は以下の3つの類型に属する。
①リニアに乗車するであろう人。南アルプスの自然環境の破壊を懸念する人。つまり、原告の居住地はリニア計画沿線周辺とは限らない。
②リニア計画ルート近くに住むため、騒音や日照障害や景観阻害を懸念する人。ルートから離れていても、リニア関連車両の通過による大気汚染や、リニア工事による水質汚濁・水資源喪失を懸念する人。
③ルート周辺に土地、借地、借家、立ち木トラストなどを有する人。
原告団や弁護団は、「なぜ17回も口頭弁論を重ねてきたのに、今さら『原告適格』なんだ」と訝ると同時に、それぞれの原告はそれぞれの予測をした。
もしかしたら、全原告が外れるのでは? 意外と、全員が適格扱いされるのでは? ルート直上・直下・周辺に住む住民だけは認められるのでは? ①は外されるのでは? など。