スペインで「スペイン語」が公用語でなくなった!? 日本人が知らない、スペイン語圏の2020年の話題を振り返る

コロナが襲うラテンアメリカ。中国の進出も

4.ラテンアメリカで最大のコロナ感染国ブラジル  2月29日の段階でコロナ感染者は僅か1人であったのが、11月12日の時点で累計感染者678万人、死者18万人。〈参照:「statista」〉  これだけ短期間に急激に感染者そして死者が急増したのは、ブラジルではファベラといったバラックの家が密集しているところが多くあり、そこでは感染者が自主隔離するのは殆ど困難である。またボルソナロ大統領のコロナ感染について風邪を引いたような認識しかもたず、しかも人命尊重よりも経済優先を選択した結果によるものである。 5.中国漁船の南米での乱獲  エクアドル、チリ、アルゼンチンと中国漁船団による乱獲がますます盛んになっている。漁船団の数は200隻以上。2018年8月にエクアドルのガラパゴス諸島付近での漁では297隻の漁船が終結して300トンに及ぶ魚を積んでいたということも判明している。また、保護水域には入っていないとしても、そのギリギリの地点で網を張って保護水域から出た魚を捕るような体制にしている。GPSをオフにして追跡されないようにして乱獲している。主にイカ漁を中心に漁をしている。  それに対して乱獲の対象にされている国は緊密に連絡を取り合って米国からの応援追跡もあって海軍が先頭に立って取り締まりに取り組んでいる。 6.エクアドルではコロナによる死者の遺体を路上に放出  今の日本では絶対に起こりえないことが南米エクアドルで3月から4月にかけて起きた。コロナ感染による死者が多すぎて遺体の回収ができない状態が続いた。その影響で家で長く遺体を安置させておくと気温が摂氏30度を超していることから悪臭を放ち外に放出するという事態が発生したことだ。それが人口270万人の海岸都市グアヤキルで頻発した。当時、グアヤキルでは遺体を埋葬するのに2000コの穴が掘られていたという。

スペイン語はもはやスペインの公用語ではなくなった!?

7.スペイン語がスペインで公用語ではなくなった  スペイン憲法3条において「カスティーリャ語はスペインの公用語であり、全てのスペイン人がそれを知る義務があり、それを使用する権利をもっている」と規定している。また、2013年に施行された教育法でも「スペイン国家のカスティーリャ語が公用語であり意思疎通を図る全国共通の言語である」という定義がなされていた。それが社会労働党とポデーモスの連立政府によってスペイン語が公用語であるという定義が削除されたのである。  これはカタルーニャのカタラン語を意識しての教育改正法である。もちろん、政府はカスティーリャ語(スペイン語)について、各自治州が指定する言語と同様にその教育を受ける権利があることを補償している。しかし、新教育法ではスペイン語を受ける「権利がある」としてはいるが、それを学ぶ「義務がある」とは規定されていないのである。しかも、公用語であるという定義も削除された。ということは、スペイン語は英語やフランス語と同様のレベルにおいても問題はないということになる。  この件については、スペインでも国論を2分する議論となっている。 8.スペインで2行が合併して資産高で最大の銀行が誕生した  合併したのは業界第3位のカイシャバンクと5位のバンキアである。合併しての銀行名は前者が後者を吸収するような形でカイシャバンクを維持し、バンキアの銀行名が消滅することになった。資産総額は6500億ユーロ(78兆円)となる。  前者は2020年度の「世界の価値ある銀行トップ500」の中で80位、後者は170位にランキングされている。この2行が合併する前まではサンタンデール銀行がスペインではトップで、前述した銀行トップ500の中では13位にランキングされている。  銀行でもデジタル化が必要となっており、デジタル銀行も誕生して従来の銀行の市場を奪っている。そのようなこともあって利益率も下降している。合併することによって薄利マージンでも資金力でもって市場で存在価値を示して行こうとする計画だ。その為には支店と社員の多さも気になる。今回の合併によって社員8000人の削減と一つの都市で重複する1400支店の削減とさらに採算に乗らない支店の削減が予定されている。
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人が来られなくなった「観光立国」の悲劇
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