次に日本学術会議の任命拒否について質問される。その質疑は以下の通り。
【15問目】
星浩氏:
「例の学術会議の問題です。私もその言論にずっと携わってきた人間としてですね、1つ気になるのは総理がこれは、そのー、内閣の人事権の1つだということなんですけど。そのー、たとえば経済政策で総理がその役所の局長を変えるというようなことであればですね、もう経済政策がうまくいかなかった場合は政治家が責任とればいいわけです。学問についてはですね、例えばこの今言ってる学説が10年後に実は正しかったというようなこともあるわけで学問にとってその政治家のその人事のあり方はその局長の人事とちょっと違うんじゃないかと私は思うんですけど、そこはどういうふうに考えてらっしゃいますか? 」
菅総理:
「
あのー、私もそこはですね、この学術会議について私ずっと疑問に思ってたのはですね、特定の大学にものすごく偏っているんですね、出身校を含めて。これ1949年にできましたから、そこからなかなかまだ変わってないじゃないかなと思ってました。 (
赤信号)
それで、その会員の人というのは210人いらっしゃるんです。その他に協力会員ですかね、が2000人いて、この人たちの枠、枠の中に入っていなければ、推薦をされない仕組みになってるんですよね。会員になれない仕組みなんですよ。(
黄信号) 」
【16問目】
小川彩佳氏:
「今回、任命拒否された慈恵の先生などは、ま、慈恵の方というのは1人しかいらっしゃらなかったわけですよね。」
*任命拒否された6名の一覧から東京慈恵会医科大の小沢隆一教授を小川氏が指し示す
菅総理:
「
いや、あのー、全体の中で出身大学とかいる中で、やはり、その2200人の方と何らかの繋がりがなければなれないんですよ。それで、そういう研究生と学者と言われる方、日本に90万人。ですから、辞める方がもう推薦して辞める時にいけるとか。あのー、やはり私はここはですね、私、自民党総裁選挙の時に、えー、縦割り、既得権益、悪しき前例主義、これを打破したい。まあ、そういう思いでした。まあ、そういう中でこの90万人いらっしゃる中で、限られた人の中から、こう毎年毎年選ばれてくることについては私はそこが疑問を持ってました。(
黄信号)
まあ、そういう中でこの国会で、えー、答えは答弁控えさせて頂きます、こう言われましたけど、任命すると、公務員なんですよね。ですから、公務員なぜ、理由よく聞かれるんですけど、こういう理由じゃダメだから任命しませんでしたとは言うべきじゃないと思っています。他の公務員と同じでありますから。(黄信号)
ただ、この学術会議に国民から理解されて、よりよいものにしていきたいという思いは、あー、思ってまして、まあ、梶田さん、新しい会長、梶田さんとは、そういう中でですね、理解されて、国民から理解されて、より良いものにしましょうということで一致しているんです。今、そうした方向に向けて、井上担当大臣が、あー、今取り組んで、まあ、そういう状況です。(
黄信号) 」
星浩氏:
「あのー、この6人の任命拒否の問題と学術会議のあり方と、私はやや論点のすり替えだと思います。まあ、これはおそらく来年も議論が続くということだと思います。」
まず、15問目の1段落目で菅総理はこれまでの国会答弁と同様に日本学術会議における大学の偏りを主張しているが、これは認識誤りであり、赤信号とした。任命拒否された6名には、会員がゼロである東京慈恵会医科大の小沢隆一教授や会員1人の立命館大の松宮孝明教授も含まれている。偏りを正すという菅総理の説明は完全に矛盾している。この矛盾は国会質疑でも既に指摘されているが、菅総理は頑なに矛盾した説明を続けている。
〈参照:東京新聞 記事
「学術会議の構成、最多の東大2割未満 首相「偏り」繰り返すも地方が半数超」〉
次の16問で小川彩佳氏は会員ゼロである東京慈恵会医科大の教授が任命拒否されている事実を明確に指摘するが、菅総理はそれでも頑なに質問と直接関係のない周知の事実を延々と繰り返しており、黄信号とした。
<15問目 2段落目、16問目 1段落目>
学術会議の推薦方式
<16問目 2段落目>
学術会議会員は公務員であること
<16問目 3段落目>
梶田会長との取り組み状況
最後に星浩氏が「
論点のすり替え」だと指摘した通り、学術会議について問われた15問目〜16問目に対して、菅総理は
一言も回答できていない。そして、ここまで質問と回答が食い違っているのに長々と喋り続けられる菅総理は、質問の意味が本当に理解できていないのではと心配になる。