「死んだら辞められますかね」……。生活困窮者をさらに追い詰める「企業のブラック化」が止まらない

生活困窮者を救う現代の「駆け込み寺」

 仕事を失い、家も追い出される――。進退窮まるコロナ難民を救うべく、多くの支援団体が懸命に活動を行っている。なかでも、食料問題の解決は生活困窮者の生命線だ。前出の雨宮氏は言う。 「新宿では、『新宿ごはんプラス』が毎週土曜日に都庁前でお弁当を配布しています。また、池袋でも『TENOHASI』が毎月第2・4土曜日に東池袋中央公園にて配食を実施。食べるものがなくて困っている方は、まず住んでいる地域ごとに炊き出しを行っている団体に連絡してみてください」  しかし、そうした情報にたどり着くためのライフラインすらままならない人も。 「支援団体を探して連絡をするためにも、携帯電話は必需品です。しかし、料金の滞納で携帯が止まる方は多い。そこで、『つくろい東京ファンド』ではアプリを使って通話が可能な携帯電話を貸し出す『つながる電話プロジェクト』を開始。最大2年間、自己負担なしで利用できます。また、電話はあるものの通信が止められているという方のために、炊き出し会場などでフリーWi-Fiを飛ばしたり、スマホの充電サービスをしているところもあります」(雨宮氏)  犯罪や自死が頭をよぎる前に、こうした駆け込み寺にSOSを出したい。

生活困窮者を支援している団体

新型コロナ災害緊急アクション コロナによる貧困問題を解決すべく、雨宮氏も世話人として活動する反貧困ネットワークなど、37の団体により急遽結成された。 ▼新宿ごはんプラス 相談フォーム(info@gohanplus.org) 「家がない」「食べるものがない」「病院に行けない」という人を対象に、無料の食事提供と、暮らしや健康のワンストップ相談会を行う。 ▼特定非営利活動法人TENOHASI 池袋を中心に配食や衣類配布、夜回りだけでなく、はりきゅうマッサージなど、さまざまな形で生活困窮者に手を差し伸べている。 ▼一般社団法人つくろい東京ファンド 相談フォーム 住居を喪失した生活困窮者に、まずは住まいを提供すべきという「ハウジングファースト」を大きな理念として掲げる生活困窮者支援団体。 【嵩原安三郎氏】 ’70年沖縄県生まれ。京都大学卒業後、’99年に弁護士登録。退職代行の専門家として、労働問題の水際で辣腕を振るう。フォーゲル綜合法律事務所 【雨宮処凛氏】 作家・活動家。支援団体「反貧困ネットワーク」世話人。格差・貧困問題に精力的に取り組む。著書『生きさせろ!難民化する若者たち』ではJCJ賞を受賞。 <取材・文/片波 誠 桜井カズキ 図版/ミューズグラフィック>
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