バイデン勝利、米中関係、終わりの見えぬコロナ禍…2021年のマーケットはどう立ち回るべきか?

 米大統領選をバイデンが制し、米中の関係は緊迫。世界経済に予断を許さないムードが漂い始めている。コロナ禍も収束の気配を見せず、先行きは不透明だが、そんなマーケットをどのように立ち回ればいいのか。アナリストの馬渕磨理子氏に聞いた。

バイデン勝利で円高ドル安が基本トレンド

為替

イラスト/bambeam

 ’20年の為替市場は、新型コロナと米大統領選が大きなテーマだった。  新型コロナに関しては第3波が到来。猛威をふるっているが、大統領選はバイデンで決着した。この状況について、アナリストの馬渕磨理子氏が見解を述べる。 「FRBは’23年までゼロ金利政策を維持するというスタンスで、バイデン政権では社会保障の財源として大幅な財政出動をする見通し。つまり、ドルが溢れるのでバイデン政権下でも円高ドル安が続くことが予想されます。  そこに加えて、コロナ禍によって資金繰りが厳しい日本の企業は海外に保有する資産を売却して補填するために円買いを余儀なくされている傾向も強い。レパトリエーションと呼ばれる現象です。アメリカの政策といった外的要因に加え、3月に控える年度末決算に向けて日本企業による円買いも進むので、そういった意味でも円高ドル安がトレンドになると考えます」

意識すべきラインは105円と100円

 ドル/円において意識される価格帯はどの辺りだろうか。馬渕氏が注目するのは、105円と100円だという。 「印象的だったのが、ファイザーのワクチン開発報道が出たときのこと。一瞬、105円まで上昇しましたが、上振れすることなくすぐ落ちてしまった。リスクオンにはなかなかなりづらい相場だと感じています。では、円高ドル安がどこまで続くかと考えると、100円を割って下落していくと日本経済には大きな影響が出始めます。これはちょっと怖いですね。過度な円高にならないよう、菅首相には外交でうまく立ち回ってほしい」
為替

ドル円のレートは令和2年の日足の推移を折れ線グラフで表示。3月に新型コロナウイルスが深刻化した際に激しく乱高下し、その後、円高に触れていった経緯が見て取れる

次のページ 
米中関係も日本への影響大
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会