本邦は、
世界で唯一の国策による検査抑制を行っており、医師会検査については陽性者のみ集計、自主検査は陽性者が自主検査結果を医師に持ち込み、医師が診断の上で報告しないと集計しないという
徹底した不作為によって
COVID-19統計が壊れています。とくに医師会検査の始まった5月以降、陽性率などの重要指標が意味を成さなくなっています。
防疫を航海に例えれば、最重要の羅針盤であり、
海図である統計を自ら破壊する国は、本邦以外になく、人類にとり共通の謎となっています。
これはたいへんに困ったことで、本邦の統計を諸外国と比較する際にはたいへんに注意を要します。
COVID-19感染者、死者などの基本統計は、検査の有限性から真の値と乖離があることは世界共通で、ICL(インペリアルカレッジロンドン)や、IHME(保健指標評価研究所)は、現在も継続して全世界の統計について、新規感染者や死者の真の値について評価をおこなっています。
各国についてそれぞれの研究機関は統計が大幅な過小評価であることを指摘してきていますが、本邦についてとくにICLは、
著しい過小評価をしていると批判的な評価をしています。
日本の日毎新規感染者数(実測値)と海外機関が推測する真の日毎新規感染者数
実測値(黒)に対し、IHMEは、第一波で約3倍、第二波で等倍、第三波で2倍以上と評価している。
ICLは、第一波で15倍、第二波で4倍、第三波で5倍以上と評価している。
YYGは個人であり、資金難などから、9月末を持って活動を中止した
OWID
本邦における第3波エピデミックSurgeについて、ICLは、現時点で
8倍近い数値を公表しています。IHMEも真の値は
3.5倍を超えると評価しています。但し、これらは、筆者が前回指摘したGTEP(GoTo Eat Point)中止によるエピデミックSurgeの急減速を評価に入れておらず、筆者は著しい過大評価ではないかと考えています。
ICLは変化が生じて4週間以降後、IHMEは3週間以降後に評価の見直しをしますので、筆者はそれを待っていますが、その分を差し引いても本邦第3波エピデミックSurgeは、既に第1波、第2波の最悪値を凌駕しており、現在も増進中であることは明らかです。
本邦では既に統計に連休後のエピデミックSurge再増進が現れており、合衆国もサンクスギビング休暇の影響が統計に現れ始めます。
本邦では、既に医療があちこちで限界に近づいており、旭川や大阪では医療の破綻が始まっています。この状態では、仮に日毎新規感染者数が横ばいでも医療の破綻は全国に広がってゆきます。医療が破綻すると、COVID-19 だけでなく出産分娩、虫垂炎などの日常的な手術、ガンなどの手術、交通事故・急患などの救急医療が機能を失いますので、大勢の市民の命が失われることになります。
現在本邦の急務は、第3波エピデミックSurgeを確実且つ大幅に押し下げることに他なりません。この好機は、3連休直後に一週間変化率がほぼゼロになった11/30前後でしたが、その好機は無為に逃してしまいました。今後は、副作用の大きな強力な介入をする必要があると筆者は考えます。
第3波エピデミックSurgeは、本邦と韓国が酷似した推移をたどっています。但し
本邦では、全国でエピデミックが進行しているのに対して、
韓国ではソウル市域に集中しているという差があります*。
〈*CNN Newsroom 2020/12/14 4:35(EST)頃〉
日韓における新規感染者一週間変化率(%)
韓国は、文政権痛恨の失策(つうこんのいちげき)で、第3波エピデミックの初期制圧に失敗している。12/14より検査の大幅拡大と社会的行動制限の強化など「K防疫」の大幅強化が開始されている。この効果は、クリスマス後頃に統計に表れる。
日本は、11/30に一週間変化率がマイナスになるという第3波エピデミック収束に向かう千載一遇の好機を逃してしまった
OWID
韓国では12/14より世界的に模範とされている「K防疫」が大幅に強化されましたが、本邦では大きな動きがありません。12/13から年末年始にかけての日韓の動向に世界が注目しています。
◆コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」新型コロナ感染症シリーズ34:迫り来る地獄5
<文/牧田寛>