SNSで話題沸騰のコスメ「V3ファンデーション」、医師が語る、宣伝文句への疑問点とは?

 ここ数ヶ月の間に、SNSから火が付き世間で一躍有名になったコスメがある。それは、「V3ファンデーション」だ。InstagramやTwitter、YouTubeなどであらゆるインフルエンサーが取り上げ、数多の雑誌にも紹介されたこのコスメは、取り扱っている多くのサロンでも品薄になるほどの人気となった。また、Yahoo!検索対象2020のコスメ部門賞も受賞し、いかに世間の関心が高いかが伺える。
V3ファンデーション

写真はイメージです

「イノスピキュール」と呼ばれる“針”を配合し、リフトアップ効果を謳う「V3ファンデーション」だが、この商品の使用に警鐘を鳴らす医師がいる。形成外科専門医・美容外科医・美容皮膚科医である上原恵理氏だ。上原氏は「V3ファンデーションは危険である」というツイートを理由とともに投稿し、大きな話題を読んだ。今回は上原氏に直接、「V3ファンデーション」の何が問題なのか話を聞いた。

「角質層を超える」表現は薬機法違反

 上原氏は「V3ファンデーション」についてこう話す。 「まず、化粧品は薬機法で『角質層を超える』ことを謳ってはいけないと決められています。ですからこのシリカの針、すなわちイノスピキュールというものが角質層を超えると謳っている時点で違法ということになります」 「V3ファンデーション」を取り扱う美容サロンのサイトには、確かに「細胞分裂が起こる肌の基底層にちょうど刺激を与える長さの針(イノスピキュール)が細胞活性を促す」という記載がある。  日本皮膚悪性腫瘍学会によれば、「表皮は数層の細胞からなる薄い組織で、表面から、角質層、顆粒層、有棘細胞層、基底細胞層で構成され」る。すなわち、上記の「V3ファンデーション」に関する文言は角質層を超えて針が基底層にまで刺激を与えると謳っているため、違法ということになる。 (*同製品のプロモーション担当者によれば、メーカーはそのような宣伝文句を謳っていないという。確かに同製品のメーカーパンフレットでは、”長時間その有用成分は肌の(角質層まで)に届けられます”とある。そのため、前出サロンの宣伝文句は薬機法に抵触する可能性があるが、メーカー推奨の宣伝文句であれば、パンフレット記載の文言を見る限り問題はない。なお、プロモーション担当者によれば、メーカーやプロモーション担当者も、「サロンが勝手にメーカー推奨の宣伝文句にない言葉で効能を謳うことはやめるよう指導している」という)
V3ファンデーション

「V3ファンデーション」を取り扱う美容サロンのサイトには、「細胞分裂が起こる肌の基底層にちょうど刺激を与える長さの針(イノスピキュール)が細胞活性を促す」という記載がある

メイクやスキンケアの成分が針伝いに肌の中へ入る危険性

 さらに上原氏は「イノスピキュールの刺さった状態が最大72時間続くということは、ファンデーションの他に私たちが顔に付けるものも針を伝って肌の中に入ってしまう可能性がある」と指摘する。 「全成分を見ると、V3ファンデーションにはケミカルな物質も含まれていますが、普通に化粧品に使われている成分です。しかし、これらの成分は肌の上に塗ることを前提にしていて、肌の中に入っていくことを前提にしているものではありません。  イノスピキュールはファンデーションにまみれて存在しているわけですから、イノスピキュールが肌に刺さったときに、これらの成分が肌の中に入っていってしまうということは当然考えられます。本当に基底層まで刺さるのであれば、通常の角質のバリア層を超えてケミカルな成分が中に打ち込まれてしまうので、アレルギーや炎症を引き起こす可能性もあります。  さらに、もし販売側の言い分が正しいのであればイノスピキュールは最大72時間刺さっているわけですよね。そうすると仮にこれらの成分がどんなに安全だったとしても、多くの女性は72時間の間にメイクやスキンケアをするわけですから、それらの物質が針を伝って肌の中に入ってしまう可能性が当然あります。かつ、V3ファンデーションは専用のパフしか使えないということですから、不衛生な状態で使用されるということも考えられます」 (* 上原医師も言っているように、「基底層まで刺さるのであれば」問題あるが、メーカーパンフレットによればあくまでも肌のバリアとして存在する「角質層まで」しか届かないということなので危険性は少ないと考えられる)
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「数十本の針」に果たして効果はあるのか
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