スペイン、軍人の間で密かに計画されていた軍事蜂起。極右政党VOXの影も

スペイン軍イメージ

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30年前のクーデター未遂を彷彿とする出来事

 スペインで「23ーF」と呼ばれる、軍人によるクーデター未遂が起きたのは1981年2月23日のことだ。あの時のクーデターは当時の国王ファン・カルロス1世の活躍で未遂に終わらせた。  それから約30年が経過した今、それを彷彿させるような動きが起き、スペインメディアで話題になっている。  12月に、空軍と陸軍の退役将校73人がフェリペ6世に宛てて、現在のスペインの統一が崩れる可能性のあることを彼らは懸念して国家の安全と憲法を擁護すべく必要とあらば命を捧げる容易があるという内容の書簡を送ったことが明らかになったのである。(参照:「Voz Populi」)

軍部で高まる左派政権への反感

 その書簡の主要点は次の3つである。 〇 現政府は過半数の議席を満たしておらず、その主人公である社会労働党は共産主義政党(ポデーモス)と連立して政府を擁立させた上に、カタルーニャの独立支持政党とバスクのテロリスト政党からの支援を得ている。これらの政党はスペイン国家を蔑み、そのシンボルを侮辱し、国王を卑下し、その人そのものを攻撃している。 〇 政府を構成する二つの政党によって憲法に則って決められた立憲君主制が脅かされるようとしている。 〇 テロの犠牲者を過小評価してテロリスト(の政党)を擁護し、その一方で現在の立法の縁を沿うかのようにして検事総長も含め司法会議の権力を服従させて歴史記憶文書で決めたことを押し付けようとしている。 歴史記憶文書とはフランコ将軍の犠牲者になった共和党支持者が銃殺されたりして彼らの遺骨の掘り起こしなどが謳われている。  更に、彼らが発信したチャットで、2600万人を射殺する必要があるというコメントさえ見つかったという。  このチャットにも参加していたホセ・イグナシオ・ドミンゲス中佐が、12月2日にラジオCadena SERに出演して、今年3月に国王の支持を得て軍事蜂起をする可能性について検討していた、ということを明らかにしている。  彼らは、その遂行が実現不可能だと判断した時点で国王に謁見を求めたが、最終的に書簡を送ることになったということなのだ。(参照:「El Pais」)  さらに、12月5日には同じく退役した軍人271人がスペインの民主化が悪化していることを表明し、国防大臣のマルガリタ・ロブレスは今回の出来事を重く見て検察に調査に乗り出すよう指示した。(参照:「El Confidencial」)
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なぜ軍部はここまで急進化してきたのか?
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