人種差別を真っ向から描いたNIKEのCMは、なぜ作られたか? 社会は変わる。怒れる年長者を置き去りにして

話題になったナイキのCM

話題になったナイキのCM

称賛と議論を呼んだナイキのCM

 ナイキが制作し公開したCM は、予想されたとおりに一定の反発と、称賛と、様々な議論を呼んでいます。  私はもちろんこのCMについて肯定的な立場に立つものですが、中には不買運動などを主張したり、Twitterで怒りの感情を吐露するユーザーも居るようです。  このような怒りが適切なものであるかどうかは別にして、そもそもなぜこのような「社会的な」CMが作られたのかを解説しましょう。

ナイキが発信していた明確なメッセージ

 話は2年前にさかのぼります。ナイキが「Just do it」キャンペーンの30周年の記念キャンペーンとして広告塔に起用したのは、コリン・キャパニックというNFLの選手です(動画のアフロの人)。  彼は優れたQBではありますが、ペイトン・マニングやトム・ブレイディのような「殿堂入り」級の選手ではありません。おそらく、ほとんどの日本人はコリン・キャパニックのことを知らないでしょう。  あなたが知っていたとすれば、NFLに詳しいか、アメリカの人種問題に詳しいか、どちらかなはずです(あるいはどちらも)。  コリン・キャパニックが有名なのはNFLにおけるプレー以上に、彼が国歌斉唱を拒否した、というその行動にあります。 ●ナイキ新広告にアメフトのキャパニック選手 膝をつき人種差別に抗議 – BBCニュース  彼は2016年に「人種差別がまかり通るアメリカ」に対する抗議の意思を示すことで、NFLでのすべての仕事を失いました。多くのNFLファンがキャパニックを非難し、彼は事実上NFLを追放されました。  それ以来、彼は未だにどこのチームとも契約していません。4年の月日がたった今、現役復帰はとても困難な道程です。  2018年に、ナイキはそんな彼を、30周年というとても重要な節目の広告塔に起用したのです。2年近くプレイしていない選手を。それは、ナイキにとっては明確なメッセージでした。  案の定、この日本のCMと同じように荒れ狂う怒りがSNSに溢れ、ナイキの靴を切り刻んだり、燃やしたりする人が多発しました。  さて、このCMのあと、何が起こったのでしょうか?
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キャパニックのCMのあと、何が起きたのか?
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