ネットの中で毎日大暴れしてしまいます――【石原壮一郎の名言に訊け】~スティーブン・キングの巻~

Q:ここだけの話、毎日、ツイッターなどで大暴れしてストレスを発散しています。問題のある書き込みをしている有名人を探して、チクチクつついたりブログに批判を書き込んだり。炎上や祭りを見つけたら、アドレナリンが湧いてきてさらに張り切ってしまいます。あまりいいことだとは思いませんが、匿名で好きなことを言えるのが快感でやめられません。悪いヤツを懲らしめる意味もあるので、べつにやめる必要なんてないんじゃないかと思ったり……。どうなんでしょう?(宮城県・34歳・小売業)

写真はイメージです。

A:どうやら、やめる気はないみたいですね。ネットで大暴れしてストレスを発散ですか。たいへんお気の毒な話です。ネットの中にはそういう人がたくさんいらっしゃいますが、匿名をいいことに他人に罵詈雑言を浴びせかけて、自分が強くなったような錯覚を覚えたり薄っぺらい正義の味方気分を味わったり、せっかくの人生なのに、そんな醜い行為を繰り返して歳を重ねていくおつもりでしょうか。  今日はお友達がみんな忙しいようなので、久しぶりに自分で答えます。基本的にはなるべく「個人の意思」を尊重して、「やめたくなければ、やってればいいんじゃないですか」と申し上げたいのですが、ここではそうは思いません。個人的に「匿名で悪意を投げつけて喜んでるヤツ」が大嫌いなので、なるべく嫌な気持ちになってもらおうと思います。  かつて村上春樹さんも人生相談で、人から悲しくなるようなことを言われたらどうすればいいかというお悩みに対して、この言葉を引用しながら答えてらっしゃいました。アメリカの超人気作家スティーブン・キングは、次のように言っています。 【ウンコ投げ競争の優勝者は、手がいちばん汚れてない人間だ】  ネット上の論争の大半は、それが小難しいことを言い合っていたとしても(美談の称賛や眉をひそめる行為への批判も含めて)、結局は「ウンコ投げ競争」です。あなたのやっていることも、悪いヤツを懲らしめているというのは都合のいい正当化で、ウンコ投げ以外の何ものでもありません。相手を嫌な気持ちにさせて溜飲を下げているようで、誰よりもウンコまみれになっているのは、あなた自身です。  私たちは、手をまったく汚さないままでは生きられません。時には手を汚す覚悟も必要です。しかし、わざわざウンコを投げて手をウンコまみれにするのは、あまりにもバカバカし過ぎます。目先の気持ちよさに溺れてしまったら、次から次へと新しい感触のウンコをつかみに行きたくなるでしょう。仮にあなたが、自分はそんな人生でべつにいいと思ったとしても、世の中がウンコ臭くなるので、ぜひやめてください。  スティーブン・キングは、【楽しくなければ何をやっても無駄である】という言葉も残しています。ネットでの大暴れは、心の底から楽しいわけじゃないですよね。ウソっぽくてハタ迷惑な楽しさじゃなくて、自分が本当に「楽しい」と思えること見つけて、なるべくそういうことをやっていきたいものです。少なくとも自分が今、ウンコ野郎になっていないかどうか、コマメに気をつける癖をつけたほうがいいでしょう。私も気をつけます。

【今回の大人メソッド】頭に血が上ったら「ウンコ投げ競争」の光景を想像する

 ネット上のたいていの論争や騒動は「ウンコ投げ競争」です。リアルでも、意地悪されて仕返しをしたり悪口を言われて言い返したりなど、つい「ウンコ投げ競争」に参加したくなるケースは少なくありません。頭に血が上ったときは「ウンコ投げ競争」の光景を想像すると、無駄な反論や邪悪な感情を投げ返したい欲求を抑えることができるでしょう。 【相談募集中!】ツイッターで石原壮一郎さんのアカウント(@otonaryoku )に、簡単な相談内容を書いて呼びかけてください。 いしはら・そういちろう/フリーライター、コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』(扶桑社)でデビュー。以来、さまざまなメディアで活躍し、日本の大人シーンを牽引している。『大人力検定』(文春文庫PLUS)、『大人の当たり前メソッド』(成美文庫)など著書多数。近年は地元の名物である伊勢うどんを精力的に応援。2013年には「伊勢うどん大使」に就任し、世界初の伊勢うどん本『食べるパワースポット[伊勢うどん]全国制覇への道』(扶桑社)も上梓。最新刊は、定番の悩みにさまざまな賢人が答える画期的な一冊『日本人の人生相談』(ワニブックス)
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