コロナ禍スペイン。世界的に知られたバルセロナのラ・ラムブラ通りが荒涼とした「砂漠」化

人影が消えた10月30日のラ・ラムブラ通り

10月30日のラ・ラムブラ通り。コロナの影響で昼夜問わず人がごった返していた世界一有名なストリートがこの状態である (Photo by Joan Valls/Urbanandsport/NurPhoto via Getty Images)

ゴーストタウンのようになった「世界的に有名な通り」

 世界で最も有名で、昼夜を問わず人通りが多い通りの一つ、バルセロナのラ・ラムブラ(La Rambla)通り。  この世界的に知られた通りが、コロナパンデミックの影響で砂漠のようになっている。コロナパンデミックの影響で、この通りに面しているおよそ800軒にものぼるバル、レストラン、土産物店などは、ひっそりと静まり返り、シャッターを下ろしている店が目立つようになってしまった。  観光客の激減に加えてバルとレストランが営業停止になっているのが追い打ちをかけるかのようになおさら人通りを少なくしている。  この通りで働いている人はおよそ1万人いる。彼らの今後の職場への復帰が懸念される。何れは活気を取り戻すはずではあるが、それがいつになるのか誰にもわからない。活気を取り戻すまでに職場が存在しているか全く不透明でもある。

かつては1日30万人が行き交っていた

かつてのラ・ラムブラ通り

かつてのラ・ラムブラ通り。夜でも人が途絶えることはなかった。(shutterstock )

 地元電子紙『El Nacional』(11月22日付)が掲載した2013年の統計によると、ラ・ラムブラ通りは年間で延べ1億人から1億2000万人が通行していたそうだ。即ち、一日に延べ30万人が通行していることになる。それがこれまで1万人の雇用を支えて来た源だ。  現在それが“砂漠化“している。何しろ、昨年だとスペインへの外国からの訪問客は8400万人で、しかも、外国からの訪問客の多くが必ずバルセロナを訪問している。今年はその25%程度しかスペインを訪問していないということであるからバルセロナへの訪問客も激減していることになる。  また同紙は、これまで32年間この通りで花屋を開いているホセ・モヤさんの売上が8割落ちていることを報じた。彼は17軒ある花屋の7軒が既に廃業していると指摘したという。そして「月末に出費を僅かでも減らすために店を開けているだけだ。しかし、毎月赤字を埋めねばならなくなっている」と取材に答えたそうだ。  キオスクで食べ物も販売しているフロラ・マリアさんの場合は売上が止まって食べ物の賞味期限を気にしながら「もう死んだ状態だ。これらすべて賞味期限が切れる。どこを見てももう完全に全損だ」と取材で語ったそうだ。
次のページ 
計画性皆無の政府、観光業依存の経済
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会