勧めるほど買う気が削がれる「ブーメラン効果」。ネットワークビジネスから見るダメな販売手法

「逃げ道」を与えることで相手を誘導

 ネットワークビジネスの勧誘の場合、「本当にいい商品だから」と強く勧めると、相手は最初にその商品をいいなと思っていても、強く商品を勧められることで「やっぱり、買いたくない」と思ってしまう。  そのため、本来は「選択しない」という選択肢を与えるべきなのだ。「もし合わないと思ったら、断ってもいいから」と、相手に「買わない」という選択肢・自由を与えることで反発させないようにするというわけだ。  これはネットワークビジネスに限った話ではなく、例えば家電量販店で店員が商品をお勧めする場合にも同様の現象が起きている。  カメラを買いに来たお客様にほしい商品の条件を聞いたあと、「それなら、このカメラが一番です。他のよりも画質が良くて〜(中略)なので、絶対にこれがいいです」と、相手に選択の自由を与えず、ひとつの商品しか勧めないとしよう。  すると相手は反発して、「やっぱり、もう少し考えます……」と帰ってしまう。この傾向は特にその業界が好きな人や、よく商品を勉強した人に見られる傾向なので、注意してほしい。  もし改善するのであれば、3つほど選択肢を用意して、お客様にどれか選ばせる自由を与えたほうがいいだろう。

推したい商品は別の選択肢とセットで紹介

 また、ほかの例としてはコンペで自社の製品だけでなく、他社の製品も勧めることもいいだろう。  「もし、従業員が5〜100人までであれば、弊社の商品よりもA社の商品の方がコスパがいいと思います。ただ、貴社は1000人の従業員がいるので、弊社のほうが最終的なコスパはいいです」というように、他社の製品を勧めながら、自社の製品も勧めるほうが良い。    自分の商品を買ってもらうことに必死になってセールストークがゴリ押し気味になると、せっかく買いたいと思っていた人ですら、買いたくない・買わないと心変わりしてしまう。  なので、セールスの場では自分が選ばせたい選択をゴリ押しするのではなく、必ず相手に選ばせる「選択の自由」を残しつつ、商品を勧めるようにしてほしい。 <取材・文/山本マサヤ>
心理戦略コンサルタント。著書に『トップ2%の天才が使っている「人を操る」最強の心理術』がある。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催中。
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