コロナ禍で職を失ったら…失業手当を受給するときの2つのポイント

失業したら雇用保険を利用しよう

頭を抱える男性

(adobe stock)

 新型コロナウイルスの影響が継続するなか、多くの人が解雇されたり、雇い止めにあったりしている。仕事を失い、次の仕事を探している期間には、雇用保険の基本手当を受給できる場合がある。  受給するためには、仕事を辞めてから10日以内に会社から送られてくる「離職票」をハローワークに持っていき、手続きを行う必要がある。  受給できれば、失業期間中、1日当たり、直近6か月の給与総額÷180日×給付率(45~80%)の金額を受け取ることができる。厚生労働省のQ&Aによれば、平均して、月給がおよそ15万円だった場合には月におよそ11万円、月給がおよそ20万円だった場合にはおよそ13.5万円をもらうことができる(Q10)。  職を失ってしまったときにはぜひとも利用したい制度だが、雇用保険の利用者は失業者全体の約2割にとどまっている。本記事を参考に、失業保険を活用し、安心して次の職探しをしてほしい。

雇用保険への加入条件

 まず、基本手当を受給するためには、離職日以前に一定期間雇用保険に加入していなければならない。受給に必要な加入期間は、離職した理由により異なってくる。  解雇・倒産等などの「会社都合退職」の場合(「特定受給資格者」)や、契約更新を希望していたにもかかわらず契約更新がされなかったなど「正当な理由のある自己都合退職者」(「特定理由離職者」)である場合には、離職前1年間の期間に6か月以上雇用保険に加入していることが必要だ。  それ以外の離職理由の場合(「一般受給資格者」)には、離職前2年間に12か月以上雇用保険に加入していることが基本手当受給の要件となる(「特定受給資格者」「特定理由離職者」「一般受給資格者」の基準については後述する)。  ではどのような人が雇用保険に加入するのだろうか。  雇用保険は、加入させるかどうかを会社が自由に判断していいものではなく、条件に該当する場合には必ず加入させなければならない。その条件とは、(1)1週間の労働時間が週20時間以上であること、(2)31日以上雇用が継続する見込みがあること、である。正社員のみならず、非正規労働者でもこの条件に該当すれば加入させなければならない。(ただし、昼間の学校に通っている学生・生徒は原則として加入できないこととなっている。)  しかしこの加入用件に当てはまるにもかかわらず、働く人を加入させていない企業は多い。この条件に当てはまるのに、雇用保険に加入していない人は、事業主に雇用保険への加入を求めることをお勧めする。  重要なのは、雇用保険は最大2年間さかのぼって加入することが可能であるということだ。もしも雇用保険に加入していないことがわかったら、今からでも加入を求めてみよう。  なお申し出に応じてくれない企業もあるかもしれないが、その際には労働組合に相談してみるといいだろう。実際、筆者が事務局次長を務める首都圏青年ユニオンでは、組合員の雇用保険加入を多数実現させている。
次のページ 
「正当な理由のない自己都合退職」にされないためには
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会