詐欺業者が跋扈![持続化給付金]申請代行を直撃

給付金の大半はすでに闇の中?

持続化給付金詐欺

経済産業省のポスター

 なお、集金に使った銀行口座はホームレスにお金を渡して作らせた他人名義の口座だ。念には念を入れ、資金の大半を相対取引でビットコインに替えた後、国外逃亡したという。だが、さらに驚愕の手口で荒稼ぎした仲間もいたとか。 「『1億円バラ撒き』キャンペーンってはやったじゃないですか? これをマネして、応募者全員に『当選したので運転免許証のコピーと預金口座の写しを送って』とDMすると、かなりの割合で返信がある。その個人情報をもとに勝手に持続化給付金を申請するんです。申請が通ったら100万円が応募者の口座に入金されて喜ぶでしょ。そうしたら、『手違いで当選させてしまったので、80万円だけでも“返金”してほしい』とメッセージする。“当選者”は持続化給付金が振り込まれたという事実にも気づかない情弱だから、『20万円もらえるだけでラッキー』と80万円を振り込んでくれるらしい。それで5000万円近く稼いでベトナムに飛んだヤツがいます」  今「返金」を希望している多くの不正受給者は悪質な申請代行業者のカモにされ、満額の返済能力を失っている。給付金の大半はすでに闇に消えたと考えられる。

家賃支援やIT補助等バブルに沸く補助金ビジネス

 不正受給が社会問題と化している持続化給付金制度。これが「詐欺師を一網打尽にする好機となった」と評価するのは、情報商材などで数十億単位の資産を築き、補助金ビジネスの裏側をウオッチしてきた「医カス」氏だ。 「スキルや専門知識がなくても、情弱をダマして大金を巻き上げられたのが持続化給付金の申請代行ビジネス。誰でも簡単に始めることができたので、中途半端な詐欺師からカネに目がくらんだ素人まで、多くの人がそのビジネスに手を染めました。おのずと多くの情弱がカモにされましたが、実際の被害者は国であり、詐取されたのは国民の税金です。特定の人が損失を被ることなく、にわか詐欺師を一掃できたのは今後にとってプラスと言っていいでしょう」  医カス氏は「幅を利かせてきたインフルエンサーも申請代行業者にカモを斡旋してきたので、戦々恐々としている」と話す。実際、給付金に言及するSNS上の怪しげなアカウントは次々と閉鎖されている。だが、今回表面化した不正受給の実態は氷山の一角にすぎないという。 「素人を相手にする以上、情報を売られるリスクはついて回ります。手軽だからとツイッターのDMやLINEなど、足のつきやすいツールを使った業者が摘発されているにすぎません。慣れた業者は匿名性の高いアプリのみを利用し、摘発が始まった7月以降は使ったPCなどを処分して高飛びの準備を進めていました。  一方で、以前から補助金ビジネスを手がけてきた業者は、休眠会社やペーパーカンパニーの経営者と組んで、中小企業向けの持続化給付金や家賃支援給付金の申請でいまだに荒稼ぎしています。国が指定した業者を通じたIT投資の半額を補助してくれるIT導入補助金制度も使い倒している。二束三文のソフトでも300万円の値をつけて売れば導入企業には150万円の補助金が入るので、資金繰りに困っている中小企業に営業をかけ、国指定の業者と結託すればいくらでも補助金を引っ張ることができるんです。  特に今年はコロナ禍とあって一部の補助率が最大4分の3に引き上げられたので、絶好の稼ぎ時。国内の大半の企業が業績不振にあえいでいますが、補助金ビジネスを手がける業者はかつてないほどの“補助金バブル”に沸いているのです」  企業と結託した、より高額な補助金の不正受給は手口が巧妙で表面化しにくいとか。補助金ビジネスの闇は深い……。 【医カス氏】 自動売買ソフトを独自開発して最高月収12億円を記録した元情報商材屋。その経験を生かして詐欺的商材の裏側などについてSNS上で発信。 <取材・文/吉岡 俊 池垣 完>
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