ロボットが「痛み」を感じて自己修復する時代がもうすぐそこに…。シンガポールの大学が開発に成功

強い衝撃を受けた時はロボット自ら対応可能!

 研究チームは神経構造と類似したセンサと回路、テックタイル(tactile)装置を使用し、様々な種類の衝撃を細分化して認知できるよう努めた。強い衝撃が起こった際には、ロボットアームなどを使ってロボット自ら対応できるようにした。なかでも、自己処理・修復機能に特に関心を傾け、人の神経組織に似た侵害受容器(nociceptors)を実現するために新たに開発した「メモトランジスタ」(memtransistor)を採用したとしている。  強い衝撃で皮膚や内部機械装置が損傷した際、インテリジェント半導体であるメモトランジスタが状況判断し、状況に対処できるように指示を出す。その後、ロボットが保有されているイオンゲル素材などを活用して、破損した部位を治療できると説明されている。  これにより、フォールトトレラントシステムの適応性を拡大することができるという。フフォールトトレラントとは、システムの一部が故障しても、その部分を自分で矯正し正常な機能を維持する技術だ。

いずれは厳しい環境でも自分で治しながら作業できるように

 論文執筆者であるとRohit Abraham John教授は、今後さらなる実験を通じて、ロボットが様々な種類の衝撃に対処できるようマニュアルを確保していくと発表した。教授は、自己回復機能に関連するノウハウが蓄積されれば、厳しい環境の中でもロボットが自ら損傷を治療しながら作業を継続することができる可能性が拓かれ、人間とのコラボレーションを拡大することができるとしている。  NTUの今回の研究結果は、既存のプログラム化されたロボットに、人間のような柔軟性を追加できる重要な技術として評価されている。 <文/ロボティア編集部>
ロボティア●人工知能(AI)、ロボット、ドローン、IoT関連のニュースを配信する専門メディア。内外の最新技術動向やビジネス情報、ロボット時代のカルチャー・生活情報をわかりやすく伝える。編集長は『ドローンの衝撃』(扶桑社新書)の著者・河鐘基が務める。
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会