研究チームは神経構造と類似したセンサと回路、テックタイル(tactile)装置を使用し、様々な種類の衝撃を細分化して認知できるよう努めた。強い衝撃が起こった際には、ロボットアームなどを使ってロボット自ら対応できるようにした。なかでも、自己処理・修復機能に特に関心を傾け、人の神経組織に似た侵害受容器(nociceptors)を実現するために新たに開発した「メモトランジスタ」(memtransistor)を採用したとしている。
強い衝撃で皮膚や内部機械装置が損傷した際、インテリジェント半導体であるメモトランジスタが状況判断し、状況に対処できるように指示を出す。その後、ロボットが保有されているイオンゲル素材などを活用して、破損した部位を治療できると説明されている。
これにより、フォールトトレラントシステムの適応性を拡大することができるという。フフォールトトレラントとは、システムの一部が故障しても、その部分を自分で矯正し正常な機能を維持する技術だ。
いずれは厳しい環境でも自分で治しながら作業できるように
論文執筆者であるとRohit Abraham John教授は、今後さらなる実験を通じて、ロボットが様々な種類の衝撃に対処できるようマニュアルを確保していくと発表した。教授は、自己回復機能に関連するノウハウが蓄積されれば、厳しい環境の中でもロボットが自ら損傷を治療しながら作業を継続することができる可能性が拓かれ、人間とのコラボレーションを拡大することができるとしている。
NTUの今回の研究結果は、既存のプログラム化されたロボットに、人間のような柔軟性を追加できる重要な技術として評価されている。
<文/ロボティア編集部>