維新都構想2度目の敗北。橋下徹氏の動向次第では、維新は3度目の住民投票に向かう?

維新は敗北を受け入れるのか?

吉村洋文府知事

吉村洋文府知事

 今回の都構想否決は、維新と蜜月関係の菅政権にとっても悪影響は避けられない。与野党対決法案において、結局最後は賛成に回ってきた維新が、菅政権でも野党分断のカードとして重宝されるのは確実視されているからだ。  しかし、23時から始まった賛成派の会見会場では、松井市長も吉村府知事も「否決の結果を受け止める」と発言。橋下氏も出演したテレビ番組(フジテレビ系組『Mr.サンデー』)で、「3度目の住民投票はない」と発言。さらに、自身も政界に戻ることはないことを改めて断言していた。  さらに翌朝のTBS系番組『グッとラック!』では、「松井さんも、政治家を辞めたくてしょうがないんですよ。早く民間人になりたいんです」「吉村さんもそうなんです。あの人も早く民間人に、自由な生活に戻りたいんですよ」とコメントした。

橋下氏の動向しだいでは3回目の住民投票も?

 ところが、そんな橋下徹氏は住民投票前の10月28日、それとは対照的な発信をTwitter上でしていたのだ。 「『毎日新聞』の『大誤報』記事が反対票を増やすのは確実だ」として(筆者記事「『維新』対『毎日』のバトル勃発。維新の無理筋批判は大阪市の住民投票に影響するか」参照)、こんなツイートをしていた。 「住民投票直前に、最大の争点について、大阪都構想に不利な形で在阪メディアが大誤報をしでかした。都構想が可決されればそれでいいが、否決されれば住民投票は無効だろう」
馬場伸幸・維新幹事長

馬場伸幸・維新幹事長

 そこで、開票前に馬場伸幸・維新幹事長に筆者が橋下氏のツイートの件を伝えたところ、「(無効訴訟など法的措置について)党内で議論することになるだろう」と答えたのだ。もし橋下氏が都構想について何らかの具体的提案をした場合、維新の対応が変わる可能性は残っているということを匂わせていたのだ。  念のため、否決が決まった会見後にも再び馬場幹事長に聞いてみたが、「橋下氏の提案で方針が変わる可能性」を全否定することはなかった。今回、都構想は否決されたものの、まだまだ波乱要因を含んでいる。  過去に、「(出馬は)2万パーセントない」と言っておきながら2007年の大阪府知事選にいきなり出馬した橋下氏のことだ。いつ前言を翻すかも知れず、3度目の住民投票となる可能性が完全に消え去ったとは言い難い。今後の動向が注目される。 <文・写真/横田一>
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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