第15回大学入試のあり方に関する検討会議が開かれていたが
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昨年の11月1日に大学入試における民間試験の利用が延期され、続いて12月17日には、共通テストでの数学・国語の記述式問題の出題が見直されることとなりました。これをうけて萩生田文部科学大臣の肝いりで、今年の1月「大学入試のあり方に関する検討会議」が開催されることになりました。ここでは、次の4つの項目について検討されます。
(1) 英語4 技能評価のあり方
(2) 記述式出題のあり方
(3) 経済的な状況や居住地域、障害の有無等にかかわらず、安心して試験を受けられる配慮
(4) その他大学入試の望ましいあり方
さて、この会議も最初のうちは注目度が高かったのですが、外部有識者を招聘して意見を聞くあたり(第7回~第12回) から少しずつ傍聴者も減り関心が薄れていきます。その傍聴者の人数はおよそ、第7回:400人、第8回:300人、第9~11回:200人、第12回:170人、第13、14回:150人のように変化し、今回の第15 回では50人になりました。
傍聴者の減少と比例するように、この会議の報道も減っていきますが、この会議の結果次第で将来の大学入試の方向が決まります。また、前回には有識者の意見をまとめ一定の提言に向けて動き出しましたので注視していく必要があります。
高大接続システム改革会議をもう一度やり直しているという声もあるが
今回の第15回目の会議では、これまでの総括がなされ川嶋委員から詳細な
まとめが提出されました。これは、文科省のホームページでも確認できます。
これまでの議論が高大接続システム改革会議(2015年3月~2016年3月)(以下、高大接続会議)をなぞっているだけだと発言する委員もいました。確かに、高大接続会議に参加していなかった委員が多数ですので、議論が重複するのはある程度はやむを得ません。
しかし、今回は「試験の公平・公正性」「試験実施団体との利益相反」などが強調されるなど前回よりも進化している部分もあります。
また、「エビデンスに基づく」ことが至る所で強調されて実行可能性についても触れています。この実行可能性については前回も指摘した方はいましたが、反対意見はある段階でシャットアウトされるようになりました。今回はこれまでは会議の様子をすべて公開していますが、今後も公開され続けてもらいたいものです。
一方、試験の公平性については、この会議でも重要性は認識しているものの、これが多くの人が見ることとなると感覚の違いが鮮明化してきます。この公平性を発端として、英語の民間試験の利用、数学・国語の記述式の導入が一端中止に追い込まれたわけですから、結論をいきなり発表するのではなく、あらかじめ何らかの基準を決めておき、それにそった決め方をする方がよいでしょう。