一方のアルメニアの方は
ロシア人の傭兵組織「ワグナー」の戦闘員が派遣されている。ワグナーはプーチン大統領が間接的に関係している傭兵部隊だ。ウクライナ出身でロシア特殊部隊の中佐だったディミトリー・ウトキンが創設した傭兵部隊で3000人から5000人の戦闘員から成る陣容だとされている。
ワグナーの存在が知られるようになったのはウクライナ東部の親ロシア派の武装勢力とした活躍したことからである。クリミア併合の際にも彼らが活躍している。また、現在のベネズエラのマドゥロ大統領の護衛などにもワグナーの戦闘員が活動している。
この傭兵部隊に資金を提供しているのは
イブジェニ・プリゴジンという人物で、彼は「
プーチンのシェフ」と呼ばれている。公共事業の受注で利益を上げている人物で、プーチン大統領の意向を反映させた動きをしている。
死んでも「プーチンの汚点」にならない使い捨ての傭兵
ロシア人から成る戦闘員は3000ユーローを稼げるということで、志願兵を募るのに事欠かないということらしい。何しろ、ひと月200ユーロ程度しか稼げないロシアではこの報酬は魅力あるとされている。
但し、戦闘で死亡してもロシア兵の死亡とは公には公表されない。もちろん、それはプーチンが望むことだ。というのも、彼らが戦死してもロシア兵の死亡とはされないからプーチンの汚点にはされないからだ。
アルメニアは現在までの戦闘による死者525人と民間人20人と発表し、アゼルバイジャンは民間人41人の死亡と負傷者205人は公表しているが、兵士の死亡については明らかにされていない。
この紛争が長引けが昨年開通したカスピ海からのアゼルバイジャンからトルコを経由してヨーロッパに輸送されている石油と天然ガスの供給に支障を来す可能性もある。
現在、トルコのエルドアン大統領がトルコ、ロシア、アルメニア、アゼルバイジャンの4か国協議を提案している。
<文/白石和幸>