アフターコロナに「買い」な街/「買い」じゃない街。郊外志向が高まり、利便性の高い駅の人気凋落が鮮明に
我々の生活を一変させた新型コロナの感染拡大。その影響は住まい選びにも及んでいる。これまでの常識が通用しない時代における「不動産購入のニューノーマル」を占う。
住宅情報サイト「ライフルホームズ」が毎年発表している「借りて住みたい街ランキング」では、コロナ禍以前に集計した’20年版(集計は’19年に実施)と、今年4月以降に緊急集計した結果から住宅選びの変化が見て取れる。
4年連続1位を獲得していた池袋は9位にランクダウン。常連だった三軒茶屋と吉祥寺はそれぞれ15位、25位へと順位を落としている。入れ替わるようにランクインしているのが水戸、宇都宮といった北関東都市勢や人気タウンとして頭角を現す本厚木など。この結果に対して、不動産鑑定士の浅井佐知子氏は都心の優位性が大きく薄れたとの見解を示す。
「コロナ不況で今までの賃料や住宅ローンが払えなくなる人が増えます。必然的に都心の高価格帯マンションや、賃料が高い地域に住んでいる人たちが影響を受けやすく、生活を見直し安い物件に引っ越さざるを得ない。都心部では空洞化まではいかずとも歯抜け状態が進行しそうです。アフターコロナにおいては身の丈に合った住まいが好まれ、不動産価格が高い都心部の多くの地域が苦戦する可能性はあります」
不動産ブローカーのDJあかい氏も「顧客ニーズの変化が進んでいる」と明かす。
「コロナ禍以降、戸建て物件への追い風は顕著。リモートワークに移行した結果、現状の間取りに不満を覚え、書斎やワークスペースを希望する声も増えています。多数の人が行き交う大規模マンションを忌避する人や、エレベーターのボタンに触れることに抵抗を感じる人など、感染リスクの観点に立って物件を探すケースも出てきています」
コロナ禍の影響が特に深刻なエリアとして、あかい氏が挙げるのが都心の商業地域だ。
「店舗の割合が多い街はコロナで大きな影響を受けています。客層や業態によって影響の濃淡があって、接待・高齢・責任ある立場の利用が多かった銀座は壊滅的です。一方で常連が通う店や地元需要の飲食店はある程度影響を抑えられており、業態や顧客ターゲットで明暗が出ていますね。銀座のような客足への影響が顕著な商業地、そんな商業地への近さしかアピールポイントがない近隣エリアにも大きな影響が出そうです」
▼2019年
1位 池袋
2位 葛西
3位 川崎
4位 本厚木
5位 大宮
▼2020年
1位 水戸
2位 本厚木
3位 宇都宮
4位 葛西
5位 大宮
プロ直伝!アフターコロナに買っていい街/買ってはいけない街
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