リニア実験車両火災事故は、「火花」では済まされない! 5000℃以上の超高温電流が従業員を焼いていた

リニア実験車両で火災、作業服が燃えて2人が重傷、1人が軽傷

リニア実験線を走行中のリニア車両

リニア実験線を走行中のリニア車両(山梨県笛吹市)

 JR東海は2027年開通を目標に、東京(品川駅)と名古屋駅とをわずか40分でむすぶリニア中央新幹線(以下、リニア)の工事を行っている。その走行実験を行っているのが、山梨県にあるリニア実験線(全長約43Km)だ。  2019年10月7日16時7分。その車両基地(都留市)でリニア実験車両が火災を起こした。車両基地から数十mの距離に住んでいる筆者の知人は、「火災直後には都留市消防署の消防車が何台もやってきて、消火作業に当たった」と連絡してくれた。消火には1時間以上がかかったようだ。  この火災は地元でも大きく報道され、その出火原因は複数の新聞で以下のように報道された。 「断路器(修理や点検時に特定の機器を電気回路から切り離すためのスイッチ✴︎10/7、9:43修正)のスイッチを切り、車両データの抜き取り作業の後、再びスイッチを入れたところで『火花が出て作業服に燃え移った』」  その結果、2人の男性従業員(29歳と31歳)が重傷、1人の男性従業員(41歳)が軽傷を負い、都留市立病院に搬送された。

「火花」で作業服が燃えるものなのか? 事故検証結果を情報公開請求 

山梨県都留市のリニア車両基地

山梨県都留市のリニア車両基地。中は見えない

 これらの報道に、筆者は素朴な疑問を覚えた。「果たして火花で作業服が燃えるものなのか?」ということだ。  激しく火花が出る溶接作業を行う筆者の知人は「軍手が燃えたことはあったが、作業服が燃えたという話は聞いたことがない」と言う。知人は「燃えるとすれば、ナイアガラ花火のような火花しか考えられない」と語ったが、以後、それ以上の報道は出てこなかった。また、筆者もこの件をすぐに忘れていた。  ところが今年7月に入ってから、3人の従業員のうち1人の重症者が4月の時点でも入院中との情報が入った。作業の最前線にいた従業員で、事故からもう半年経っても入院しているとは。この情報に驚き、再び「そんな重症の火傷になるほどの火花があるはずがない」との疑問を覚え、筆者はすぐに都留市消防署に連絡を入れた。 「本当に火花で作業服が燃えるのでしょうか? 消火作業後に現場検証をしたのであれば、検証結果を教えてもらえませんか?」  この要請に対し、消防署職員は「検証はJR東海と一緒にやりました。検証結果はなるべく早く伝えるようにします」と伝えてくれた。  だが、7月10日、消防署から届いたFAXは筆者の疑問を解消するものではなかった。そこには、「大きなエネルギーの『火花』が発生し、作業服に燃え移った」としか書かれていなかったのだ。
都留市消防署からは「大きな火花」が原因との回答

都留市消防署からの回答には「大きな火花」が原因としか書かれていなかった

 そこで、消防署が「ここだったらより詳しく知っているかもしれない」と教えてくれた都留市役所の法制広報担当に情報公開請求をかけてみた。  これは時間がかかった。メールで用件を伝え、その後、FAXで必要事項を伝え、市役所が送ってきた文書に必要事項を書き入れて返送する。その結果、9月4日に回答が来た。
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超高温の電流が従業員たちを焼いた!?
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