インバウンド需要への依存政策が莫大な税収減をもたらした
元大阪府職員の大石晃子氏
大石氏は、次のように解説していった。
「『少子化は続く』と、松井(一郎・大阪)市長は言うのですよ。
『少子化は続いても仕方がないから、インバウンド、IR(統合型リゾート施設)、カジノに外国人のお客さんに来てもらって、その成長の果実で社会保障をまかなうのだ』と淀川区内で絶叫していました。
私は、それを聞いて許せないと思いました。
維新がさんざん若い人の非正規雇用をたくさん作って、結婚する気にもなれない、子供も産めない状況を作っておいて、『少子化は続く』ありきで(海外の)お金持ちに来てもらうというのは、『ふざけるな』と公務員(府職員)の時から思っていました」
さらに大石氏は、維新の外需(インバウンド)依存政策が莫大な税収減をもたらしたことも紹介した。
「インバウンド需要は危ういということです。これは
大阪市が8月に出しているデータで、インバウンド需要は99.9%蒸発してしまった。立命館大の松尾匡教授という積極財政の先生が9月に推計を行いました。
インバウンドが蒸発して、どのくらい税収が減るのか。
年間で大阪府税337億円、大阪市は最大138億円の税収が減ってしまった。東京や大阪でインバウンドにすごく依存した体質を作って来たから、それがこけてしまった時に税収上の損失が出てしまうことがすでに起きている」
大石氏はさらに、
「この大阪が変われば、日本が変わる」と強調した。
「大阪と日本社会全体がどんな悪循環に陥ってきたのか。今一度、考えてみたい。インバウンド優先・依存の経済を作った。内需、市民の消費支出は落ち込んでいる。大阪は成長しない。
こんな状況で結婚もできない、子供も産めない。若い人は奨学金の返済も大変です。大阪に住んでいる人達の暮らしはどんどんしんどいものになってきている。そして、せめて頼ったインバウンドもコロナで蒸発した。『どうしてくれるのか!』という話ですよね。
この悪循環を作ってきた、企業の利益や生産性、勝手な生産性だけを求めた悪循環を止めて、本当の大阪の経済再生ができる社会を作る。
『少子化が続く』ありきではダメ。『少子化が続く』と言っている人(松井市長)が政治家にいてはいけないと私は思う。コロナ対応と大阪の経済再生ができる社会を大阪から作りましょう」
ちなみに松井大阪市長は、住民投票で大阪都構想が否決されたら政界を引退することを表明している。
この住民投票は、松井市長による維新市政への審判も兼ねているといえるのだ。