夫を亡くした赤木雅子さんとの交渉で「話を理解していますか?」。財務省近財職員が口にした森友改ざん事件を象徴する無神経な一言

帰り際の一言でグサリ反撃

近畿財務局の表示を指差す赤木雅子さん

近畿財務局の表示を指差す赤木雅子さん

 「今日は改ざんの現場に踏み込んだので気持ちが重かったです。この建物で夫は改ざんしたんやなあって。この建物に改ざんを命令した上司の人たちがいるんやなあって。その人たちは毎日どんな気持ちで過ごしてるんやろうって。でも夫はここで30年働いてくれたんやって感謝します。働かせてくれた近畿財務局にも感謝してます。だから思うんです。改ざん自体は認めているのに、今更何をこんなに隠そうとしてるのか? 夫が亡くなって2年と半年以上が経っても、何も変わりません」  帰る間際、赤木さんは見送りに出た財務局の職員に告げた。夫の直属の上司だった池田靖さんのこと。改ざんのため休日だった夫を職場に呼び出した上司のことを。 「池田さん、まだこの職場にいらっしゃいますよね。お元気ですか? 夫がお世話になりましたと、よろしくお伝えください」  職員はこわばった表情を見せながらも、この要望には「わかりました。お伝えします」と答えたという。赤木さんは彼らのことも思いやった。 「あの人たちもまじめな公務員やと思うんですよ。夫もそうでした。まじめに上司の言うこときいていると、おかしくなるよって教えてあげたいです。まじめな公務員がおかしくなるような役所を変えてほしいです」  赤木雅子さんの国との闘いは続く。次の裁判は10月14日、大阪地裁の大法廷で行われる。 <文・写真/相澤冬樹>
大阪日日新聞論説委員・記者。1987年にNHKに入局、大阪放送局の記者として森友報道に関するスクープを連発。2018年にNHKを退職。著書に『安倍官邸VS.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』、共著書に『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』(ともに文藝春秋)
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