近畿財務局の表示を指差す赤木雅子さん
「今日は改ざんの現場に踏み込んだので気持ちが重かったです。この建物で夫は改ざんしたんやなあって。この建物に改ざんを命令した上司の人たちがいるんやなあって。その人たちは毎日どんな気持ちで過ごしてるんやろうって。でも夫はここで30年働いてくれたんやって感謝します。働かせてくれた近畿財務局にも感謝してます。だから思うんです。改ざん自体は認めているのに、今更何をこんなに隠そうとしてるのか? 夫が亡くなって2年と半年以上が経っても、何も変わりません」
帰る間際、赤木さんは見送りに出た財務局の職員に告げた。夫の直属の上司だった池田靖さんのこと。改ざんのため休日だった夫を職場に呼び出した上司のことを。
「池田さん、まだこの職場にいらっしゃいますよね。お元気ですか? 夫がお世話になりましたと、よろしくお伝えください」
職員はこわばった表情を見せながらも、この要望には「わかりました。お伝えします」と答えたという。赤木さんは彼らのことも思いやった。
「あの人たちもまじめな公務員やと思うんですよ。夫もそうでした。まじめに上司の言うこときいていると、おかしくなるよって教えてあげたいです。まじめな公務員がおかしくなるような役所を変えてほしいです」
赤木雅子さんの国との闘いは続く。次の裁判は10月14日、大阪地裁の大法廷で行われる。
<文・写真/相澤冬樹>