コロナ禍でホテル暮らしをしながら売春。20代女性が街頭に立たざるを得ないワケ

コロナで実家に帰るなと言われて

――今の生活スタイルになるまでは何をしていたのでしょうか? 彩さん:高校出て、専門学校に入ったんだけど半年で辞めたの。専門学校入るのと同時に居酒屋のバイト始めて、それが2年かな。その後ピンサロで2年働いていました。その時にお酒飲み過ぎて店をバックれて、何日かニートになったんだけど、お金なくなってヘルス入って。で、ヘルスを辞めてからはホテル暮らしです。 ――何故ずっとホテルに泊まっていたのでしょうか? 彩さん:ヘルスの時は一人暮らしだったんだけど、ヘルス辞めてから家賃払えなくなって引き払いました。実家に帰るのが面倒くさかったから泊まってた感じ。実家はここから遠いので。母親にも何にも言われなったし。しかも、2月末に帰るって言ったらコロナ酷いから帰ってこないで、と。おばあちゃんもいるし。  それで、ずっとホテル住まいして。保険証の期限も切れちゃってたし、身分証も作りたかったから本当はもっと早く帰りたかったんだけど。コロナが落ち着いてきて、やっと母親にお許しをもらって実家に帰れた感じ。 ――ホテル住まいの時はずっとホテルに泊まって、お客さんを取っていたのでしょうか? 彩さん:そうです。4000円で飲み放題、歌い放題のバーがあって、そこに友達と朝8時までいて、それでホテルまた帰って、みたいな。 ――いつからホテル住まいをしていたのでしょうか? 彩さん:12月ぐらいからかな。それまではちょこちょこ実家帰ってたけど。 ――いつもこの辺りに? 彩さん:そう。1回錦糸町に行ったけど、場所が分からなくて、ソッコーで帰って来た。 ――場所って何ですか? 彩さん:ここに来ればお客さんがいる、っていう場所がある。錦糸町もサイトで書いてあるところに行こうとしたけど土地勘がなくて無理だった。 ――サイトがあるんですね? 彩さん:そう、情報が載ってるサイトがあるの。「東京 立ちんぼ」で調べると、いろんな町が出てくる。この場所はサイトでナンパしてきた人に教えてもらったの。「立ってれば絶対声掛かるから」って。声掛けて来て、条件を言えば、ホテルに連れて行ってくれるよ、と。  サイトだと、冷やかしで待ち合わせ場所に来なかったりすることもあるの。それからいざ会って、タイプじゃなかったって言って減額されても困るし。だったら、あそこに立ってて、気に入って声掛けてもらって、値段もその場で決められる方がいいかなと。 ――最初はサイトに書き込んでお客さんを探していたんですね。 彩さん:そうそう。でも、私はまた営業メールっていうのができないから。身長〇〇〇cmで、やせてる、ぽっちゃり、みたいなことを書いて送るのが本当に面倒で。基本的に(出会い系の)アプリには入ってるから、昨日の夜中にも「パパ活」みたいな感じで探そうとしたけど、面倒で夜中に携帯投げた(笑)。通知うるさいよ!みたいな。 ――最近、何か変わったことはありましたか? 彩さん:すごい痩せちゃったの。鬱っぽくなっちゃって。最初は1月。その時は5kg痩せて。次は6月にまたなって、1週間で6kg痩せちゃった。低血糖でベッドの上でボーっとして動けなくなった。ホテル代払わなきゃ、立たなきゃな…と。結局、人生で一番太ってた時より全部で20kgぐらい痩せた。コロナもあって人が来なかったし不安だったのかもしれない。元々すごく太ってたからちょうど良くなっていいんだけど。

身分証がなくても働ける

――なぜ、ヘルスを辞めてしまったのでしょうか? 彩さん:ヘルスに勤めてた時、月に1回性病検査があって、3ヶ月目にお客さんから性病を移されたのがわかったの。  で、2~3日して病院行って薬をもらって治したんだけど、出勤するにも再検査しないといけなくて。でも、再検査するにもお金が必要で、それが1万4000円で…。4項目やらなきゃいけないんだけど、性病検査は保険掛からないから高くて。  私、貯金能力なくて、お金すぐ使っちゃうの。お金ないし、お店にも出勤できないし。「さぁどうする?」ってなって…。で、悪循環から立ちんぼになりました。 ――ヘルスを辞めてから性病が治るまでの間、昼の仕事はやろうと思わなかったのでしょうか? 彩さん:思わなかった(笑)。 ――これからはどうしますか? 彩さん:次は、身分証作ってからソープで働こうと思ってます。身分証がないとソープでも働けないから。 ――身分証は、具体的には何が必要なのでしょうか? 彩さん:顔写真付きの身分証が必要なの。健康保険証は持ってるけど、それだけではダメで。顔写真の付いてるパスポートとかマイナンバーカードとか。マイナンバーは通知カードだけあったから、写真撮ってマイナンバーカードの申請手続しようと思って。マイナンバーカードができたら、ソープの面接に行きます。  「お金がなくなっては稼ぐ」を繰り返してきた彩さん。自分でお客さんを取って性的サービスを提供する「神待ち」は、身分証がなくてもサービスを提供することができ、客を選べて、しかも値段も自分で設定できる合理的なものだったようです。 <取材・文/みどり>
女性の生き方を中心に追うライター。関心事は不況やコロナ禍での女性のサバイバル。
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