同じデジタルの名を冠する大臣、平井卓也氏と台湾のオードリー・タン氏を比べてみた

SNSの投稿も管理できない平井氏

 平井氏がデジタル担当大臣に任命されるニュースが出た際、SNS上で再燃したのが「ワニ動画」の一件でした。今年5月の検察庁法改正案をめぐる衆院内閣委員会で、同氏が自身のタブレット端末でワニの動画を鑑賞している姿が報道されたのです。本人は「偶然出た」と弁明していますが、仕事に対する姿勢に疑問符はつけられたままとなっています。  さらに、社民党の福島瑞穂議員がインターネット中継で発言をしている際に、ネット上に「黙れ、ばばあ!」と書き込んだのがバレてしまった過去もあります。多くの報道では、匿名で書き込んだものがバレたような書き方になっています。  確かに書き込み自体は匿名だったのですが、それが自身のTwitterアカウントに連携されていることに気がつかず、同じ内容が平井氏のアカウントからツイートされていたのが発覚のきっかけになったのです。  国民の心配は「黙れ、ばばあ!」と書き込む感覚だけでなく、情報管理の最先端たるべきデジタル担当大臣が、この脇の甘さであるという部分にもあるのではないでしょうか。

「開かれた政府」をITで実現しようとするタン氏

 台湾に目を向けると、一見、国民との接点が希薄になりがちな閣僚という存在でありながら、タン氏が「開かれた政府」を実践しようする姿が見えてきます。氏は、毎週水曜日に台北市内の「社会創新実験センター」という場所にいることを広く公開しており、そこには誰でも会いに行くことができるのです。  そればかりか、午前10時から午後2時までは予約なしで自由に会うことができるといいます。政治に関心の高い台湾の若者は、声を直接伝えられる閣僚に大きな期待を寄せています。  また、タン氏は男性として生まれましたが、24歳の頃に自身がトランスジェンダーであることを公表しました。日本に目を戻すと、すでに何年も「女性の活躍できる社会」を標榜しながら菅政権の女性閣僚は、わずか2人で、割合にするとたったの8%。  トランスジェンダーであるタン氏を登用した台湾政府が進んでいることは間違いありませんが、日本はその遥か後方で足踏みしているようです。  こうして比較すると、タン氏に見劣りする部分が露わになる平井氏ですが、今は頑張っていただくしかない現状です。平井氏のブログではデジタル担当相の所信として「役所の縦割りを打破すること」を掲げています。  コロナ対策でも役所の縦割りで、対応の遅れが数々見られました。次に来る危機のためにも、一刻も早いデジタル担当大臣の活躍が望まれます。 <文/Mr.tsubaking>
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