菅新政権を5つのポイントにまとめて報じたのは「
ブルームバーグ」だ。各ポイントは次のとおり。(参照:
Bloomberg)
1・「アベノミクス」は続く
2・「ウーマノミクス」は失速
3・官僚よ用心しろ
4・外交はお預け
5・台湾コネクション
「アベノミクス」の継承と外交手腕については説明するまでもないだろう。
「ウーマノミクス」については、安倍政権が掲げた
女性を主要ポストの30%に就ける、「
SHINE」させるという謳い文句とは裏腹に、その数値が
10%にまで低下したことが報じられている。さらに
閣僚の平均年齢が約61歳で、
うち3人は70代。
その一人が菅首相自身であることも指摘されている。
官僚との関係については、菅首相がたびたび官僚主義を打破すると発言してきたことと併せ、
河野太郎氏が行政改革・規制改革担当相、
平井卓也氏がデジタル改革担当相に就任したことが取り上げられている。
そして、台湾コネクションについては、菅首相が
安倍前首相の弟、岸信夫氏を防衛大臣に就けたことが紹介されている。岸氏が台湾と密接な関係にあり、これが中国への牽制であるとの見方だ。
最後はアメリカ「
CNN」とイギリス「
BBC」の英米2大メディア。CNNは菅首相が「
前日本首脳の右腕」であるため、
総理大臣就任は驚くべきことではないとしている。(参照:
CNN、
BBC)
「8月、日本は世界的パンデミックの影響で
記録的なGDPの下降が報じられ、
2020年4〜6月期、経済は7.8%縮小した。東京ではいまだに延期された2020年夏季五輪を2021年に開催する予定だが、そのころまでに世界的なパンデミックが収まっているかには疑問がつきまとう。
また、日本は
巨額の公債や
高齢化といった長期的な経済、社会的問題に直面している。安倍が社会に呼びかけた職場での男女平等とは反対に、評論家は彼の政権時に十分な進捗はなかったと語る」
一方、BBCは「
菅義偉:予想外の日本国新首相の台頭」という見出しで、上智大学の
中野晃一教授のコメントを引用しつつ、次のように報じている。
「『彼はどの派閥にも属していません。彼が
権力に登りつめたのは安倍氏のお気に入りだったからです。緊急時には彼の背後にいる党の重鎮たちが奔走するでしょう。しかし、ひとたび危機が去り、重鎮たちが求めているものが手に入らないとわかれば、間違いなく権力争いが起きるはずです』(中略)
多くの
“王位を狙う若き者たち”は菅氏がミスを犯すのを待っている。そして、多くの問題が悪しき方向に向かいかねない。安倍首相が辞任を発表する前、主にコロナ対策への不満から支持率は30%まで落ち込んだ」
就任してからまだ何も行なっていないにも関わらず、高い支持率を集めている菅新政権だが、相変わらずコロナウイルスは猛威を振るい続け、経済は低調なままだ。
たいした要因もないまま上下高を繰り返す支持率については、おそらく本人もそれほど気にしていないだろうが、記事中でも紹介した数値(もしかしたら国内では破棄・改ざんすればすむのかもしれないが)、そして
国民が肌で感じる生活苦は誤魔化しの効かないものだ。
唯一変えられるとすれば、それは菅首相の「行動」にかかっている。海外メディアに指摘されるような「聞く耳持たず」な姿勢ではなく、
総理大臣の職に恥じないような活躍を期待したい。
<取材・文・訳/林 泰人>