菅原一秀衆院議員、駅頭演説への直撃取材に、説明責任果たさず「脅迫」「嫌がらせ」と逆ギレ

「記者会見やりました」の一言で、質問は完全無視

 菅新総裁との関係をアピールする菅原議員に以下の質問を投げかけたが、全てスルーされた。 ――香典、蟹、メロン、後援会バス旅行といった有権者買収・公選法違反について有権者に説明する義務がある。説明責任は果たしたのか? ――菅氏の話ばかりだが、ご自身の公職選挙法違反・有権者買収について説明はしないのか? ――説明責任を求める有権者の声を無視するのか? ――昨年10月、有権者買収の顧客リストファイルを削除するよう秘書に指示したか  駅頭終了後、立ち去る菅原議員を再度直撃取材した。
菅原議員ら

駅頭を終え、駅の階段を下りる菅原議員ら

――説明責任を果たされましたか?有権者が説明責任を求めていますが、有権者に説明しないんですか?  振り返り、苛立ちを隠さずこう答えた代議士。 「記者会見やりました――あれで説明責任を果たしたと思われますか?思ってます――有権者のほとんどはそう思ってないですよ 「……………」
「記者会見やりました」説明責任を果たしたつもりの菅原議員

「記者会見やりました」説明責任を果たしたつもりの菅原議員

取材を「脅迫」と呼ぶ代議士

 さらに菅原議員は筆者の取材について非難してきた。 「完全に政治活動違反」「政治活動妨害」  国会議員である以上は取材に答える義務があると告げる。 「取材じゃないでしょそれは」「強制取材は取材と言いませんから」「あなたのは取材じゃない、申込みもないし」  申し込みしない取材手法があることも判っていないようだ。取材ではないと言うなら何だというのか。問うと代議士は驚きの発言。 「あなたのは脅迫ですよ、それは」「脅迫ですよ」  筆者が何を”脅迫”したのか尋ねたが、明確な返答はなかった。
被害者面で取材者に詰め寄る菅原議員

被害者面で取材者に詰め寄る菅原議員

 昨年6月19日、菅原議員の練馬事務所へ取材申し込みに訪れたジャーナリスト(筆者と藤倉善郎氏)を虚偽の建造物侵入で刑事告訴したのは、菅原議員の指示か尋ねた。すると・・・、  「取材の名の下の嫌がらせじゃないですか、あなたのは」
自身の疑惑が追及される取材を「嫌がらせ」と主張する菅原一秀衆院議員

自身の疑惑が追及される取材を「嫌がらせ」と主張する菅原一秀衆院議員

――いえ、取材ですよ。ああ、じゃああれは刑事告訴という名の嫌がらせですか? 「いや、あれはあなたがうちの事務所に入ってきたからですよ」 ――取材の申し込みに入っただけですよ 「いや、あれは完全な違法行為」 ――違法行為じゃないです 〈参照:公職選挙法違反疑惑を指摘のジャーナリストを国会議員事務所が警察に虚偽通報か
虚偽の建造物侵入での刑事告訴を正当化する菅原議員

虚偽の建造物侵入での刑事告訴を正当化する菅原議員

 この時の刑事告訴に際しては、自民党の顧問弁護士が菅原議員の事務所に呼ばれ、協議が行われていたことが判っている。今回また自民党総裁の側近議員が「脅迫だ」と騒ぎ立てたことで、取材者を封じ込める策動に党として再び関わる可能性もある。  ひとしきり騒ぎ立てた代議士は秘書が運転する車に乗り込み走り去った。

「完全に消して」「ファイルそのものを」“顧客リスト”を削除

 菅原議員は経産相だった昨年10月、疑惑の焦点だった有権者買収の顧客リストについて「事務所を探したが、全く見当たらない。データもない」「ひとつずつ調査をしているところ。今後とも調査を進めていきたい」などと各メディアに答えていた。しかし実際には、この時、菅原大臣は顧客リストファイルそのものを完全に消すよう秘書に証拠隠滅を命じていた。
筆者が入手した有権者買収の証拠隠滅を指示する菅原一秀大臣(当時)のLINEメッセージ

筆者が入手した有権者買収の証拠隠滅を指示する菅原一秀大臣(当時)のLINEメッセージ

 菅新総理総裁の下で復権を目論む菅原議員。この「菅(スガ)の威を借るカニメロン」をにどのような投票判断を下すのか、次期衆院選で東京都第9区の有権者の民度が問われることになる。 <取材・文・撮影/鈴木エイト(ジャーナリスト)>
すずきえいと●やや日刊カルト新聞主筆・Twitter ID:@cult_and_fraud。滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教カルトと政治というテーマのほかにカルトの2世問題や反ワクチン問題を取材しイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)、『日本を壊した安倍政権』(扶桑社)
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