ファン・カルロス・サントルムは9月5日警察に出頭することを決めたという。その前日フェイスブックに「警察に出頭する。戦いにもう疲れた。どのようにでもしてくれ。もうこれ以上無理だ」記述し、「すべてでっち上げだ。刑務所に数年いることになるだろう。すべてに感謝する」と綴った。
ファン・カルロス・サントルムは正午に弁護士を同伴してビゴ市にある裁判所の一つに出頭した。ところが、ここで意外なことが起きた。
出頭したファン・カルロス・サントルムと弁護士を受け付けた裁判所が、国家警察からも治安掲載からも如何なる指示を受けていないとして戻るように言われてしまったというのである。そして、9月7日の午前10時にポンテベドゥラ市のアウディエンシア地方裁判所に出頭するように要求されたという。ちなみに、アウディエンシア裁判所は特にテロや麻薬などの犯罪を専門に扱う裁判所である。
そして、指定された日時の20分前の9時40分にアウディエンシア地方裁判所に向かったファン・カルロス・サントルムと弁護士を待ち受けていたのはさらに驚くべき事態であった。
なんと、裁判所のところで駐車しようとした時に治安警察が出てきて、これから出頭しようという彼を拘束したのである。彼の弁護士は「出頭する20分前に彼を拘束した理由が分からない、彼は裁判所が指摘した通り出頭しようとしていたのに」と述べて、不満を表面した。
弁護士が治安警察に対し拘束の理由についての明確化を要求したところ、治安警察は次のように答えたという。彼には9月4日から刑務所への収監が発令されていたが、本人は9月6日にビゴ市の裁判所に出頭した。しかし、その裁判所から刑務所に彼を送還することは法的にできなかった。というのも、これを発令することになっていたのはポンテベドゥラ市のアウディエンシア地方裁判所の第4法廷となっていたからだった、というのが理由だとした。
仮に彼がその後出頭せずに逃亡すれば警察はまた彼を捜査せねばならなくなるし、これから出頭しようという人間をわざわざ拘束したのもよくわからない。いつ公判が開かれるか不明であるが、ファン・カルロス・サントルムはコカインの密輸入をしようとした罪で現在刑務所に入っている。
<文/白石和幸>